579 大げさに相槌を打てば、情報料が跳ね上がる
一年ほど前のことになる。
パリサイドから数名の使節団が来た。
彼らは南極大陸のアームストロングに降り立った。
友好のための表敬訪問という名目である。
どんな要求もなかったし、地球側からも希望することはなかった。
わずか二日滞在しただけで、太陽系外に飛び去っていった。
だが、そのことは固く伏せられた。
神の国巡礼教団に対する嫌悪感が、まだ強いからである。
「ところで今、こうしてかなりの数のパリサイドが出現した。これはどこから来たんだ? 不思議じゃないかい?」
「なるほど、そうですね」
イコマはそう言ったが、スゥは微妙な顔を作ってみせただけだ。
大げさに相槌を打てば、情報料が跳ね上がるのかもしれない。
「その使節団は、小さな宇宙船に乗ってきたというんだよ」
「ん?」
「今回、そんなのが、数百、数千も着陸したかい?」
「勿体つけてないで。私達、急いでるんだから」
ライラは、フンと唸っただけで、解説を付け加えた。
「一年前に着陸した時点で、すでに多数のパリサイドを地球に送り込んでいた、という説がある」
使節団は見せかけの先遣隊。
人知れず、何らかの生体を、その宇宙船が運んできたというのだ。
その生体は、どこかで一年かけて成長を続け、各街に分かれて同時に会談を申し込んできたらしい。
「パリサイドは、実はもう一年も前から、地球に住んでいたんだよ」
「ほう」
「あたしゃ、きっと海の中にいたんだと思うな。海は、もう誰も見向きもしないからね」




