562 ンドペキの口元や、目の表情を思い出しながら
エーエージーエスに隠れた荒地軍は、階段に留まっていたのではなかった。
チューブの内部にいるものと思われた。
階段で見張りをしている兵士が入れ替わっているところをみると、チューブの中でオーエンの餌食になっているわけでもなさそうだ。
ンドペキは、彼らを掃討することを諦めた。
近づくと見張り兵もチューブに逃げ込んでしまう。
かといって、自分達がそこに踏み込むことは危険が大きすぎる。
オーエンが敵をかくまっているとしたら、そこに飛び込むことは死を意味する。
その頃には、それがアンドロの軍だということが確実になっていた。
彼らから届いたメッセージには、タールツー名で投降を促す言葉があった。
もうひとつ、ンドペキ達を驚愕させた出来事があった。
南軍と呼んでいた政府軍の兵士が、日一日とその数を減らしていたのだ。
理由は簡単に推測できる。
強制死亡処置が実施されているに違いなかった。
それでも政府軍は歩み寄ってくる姿勢を見せない。
レイチェルのサイン入り書簡も役には立たなかった。
本物だと信じていないのか、無視され続けている。
チョットマは、瞑想の間を出立し、ホトキンの間を経て街への通路を急いでいる。
ネールとイナレッツェ、そしてスゥとパパが一緒だ。
作戦のあらましは、ンドペキと打ち合わせたとおりで変更はない。
チョットマは何度も何度もそれを復唱していた。
ンドペキの口元や、目の表情を思い出しながら。




