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553 変わっていいから、現時点の希望を
「私のことを心配してくれるのね。自分のこともどうなるかわからないのに」
「いや、俺たちはたとえ死んでも、アンドロにその気さえあれば、また再生されるだろう」
その可能性は極めて小さい。
街の市民ならいざ知らず、自分達は兵士。
「そうねえ……」
レイチェルにも悲壮感はない。
彼女はホメム。
彼女こそ、再生されることはない。
「どうしようか」
街には戻れない。
政府軍も壊滅状態。
そんな事態になれば、他の街へ行くしかない。
「どの街へ?」
逃げ延びる手助けをしなくてはいけない。
それがニューキーツ東部方面攻撃隊の最後の公式作戦になるだろう。
今のうちに、主要なメンバーには、それを伝えておかなければ。
ンドペキはそう考えていた。
「他の街か……。あんまり興味ないなあ」
「興味があるとかないとか、旅行じゃないんだぞ」
「ううん。あなたとならどこでもいいけど」
「レイチェル! 冗談言ってる時か! 決めてくれ!」
「大声出さなくてもいいって。ちゃんと考えておくから」
「あ、すまない、つい」
すぐに答を出せるものでもないだろう。
「できれば、出発までに耳に入れてくれるか? 変わっていいから、現時点の希望を」




