55 ま、楽しまなきゃな
ハクシュウという人物をイコマは知らない。
いつものように、簡単にデータを探った。
アクセスできる人物データベースは、探偵のものと違って、役に立たないことが多い。しかし、今回は違った。
「ハクシュウ、ニューキーツ軍中尉、東部方面攻撃隊長、千九百五十六年生誕、男」
という情報が掲載されていた。
同い年……。
ハクシュウという通称から想像すると、マトになる前は日本人、だろうか……。
ンドペキ、スジーウォン、コリネルス、パキトポーク。
こちらの方は、例によって何の情報もなかった。
ハクシュウに興味を持った。
スジーウォンという兵士が言うとおり、いまさら捜索したところでサリの亡骸はおろか、装備の小さな欠片といった遺留品さえ見つかるはずがない。
死体は身に着けていたいかなるものも含めて、速やかに回収される。
現場からは消えてなくなる。
そういうことになっている。例外はない。
ハクシュウは、通常の訓練に、サリの捜索という架空の名目を付けただけなのだろう。
あるいは別の目的があるのだろうか。
サリを葬った原因、ないし犯人を見つけ出す、というような……。
もしそうだとすると、ンドペキの立場は微妙だ。
サリが死んだとき、あるいは行方不明になったとき、行動を共にしていたと聞いている。
そしてチョットマは、ンドペキのチームに属している……。
そう思い始めると、漠然とした不安が湧いてくる。
アギの習性である。
思考は常にクリア。
新たな考えが浮ぶごとに、古い思考は薄れていくということがない。
思い付きであろうが、熟考の結果であろうが、思考はどんどん溜まっていく。
これを中断するには、睡眠、つまりリセットが必要だ。
さて、どうするかな。
独り呟き、アップット高原のマップと衛星画像にアクセスした。
ま、楽しまなきゃな。




