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544 そこにどんなドラマもない
「私もなかなか気を使うねん」
「まあ、そうだろな。中間管理職じゃ」
「うん。でも、部下には恵まれてるよ」
「そりゃいいじゃないか」
「中でも、KC36632達。直属の部下。彼女は地球で生まれた人じゃない。でも、口は堅いし忠誠心もピカ一。そういう人を厳選してる。パリサイドの中で、私の本当の行動を把握しているのは、ほんの数人だけ」
「わかった。おまえの立場が悪くなるんだったら、さっきの話はなかったことで」
「ありがとう。よかった」
「いや、僕こそ悪かった。そうとは知らず、余計な頼みごとをした」
「ごめんね。それと、言いにくいんやけど、念のために」
「なに?」
「もし私達に危害を加えるようなことがあれば、厳しく反撃するよ。そういうことになってる。わかっててな」
「ああ」
「私が言ったことを彼らに伝えるかどうかはノブの自由。でも、くれぐれも特別扱いじゃないってことを、ノブ自身がわかっておいてね。特別扱いは、ノブとアヤちゃんだけ」
「パリサイドの力って? とんでもないのか?」
「そうやね。昔、西暦二千年ごろにエイリアンの映画があったでしょ。宇宙人が地球を征服に来るって話。人類は生き延びれるのかって感じの」
「ああ」
「あれは嘘ばっかり。本当は、そこにどんなドラマもないよ」
それはそうだろう。




