532 それはそれ、これはこれ ね、どうなの?
朝方、チョットマは、瞑想の間で淵の見張りの番についていた。
パパも引き上げてきている。
規定の睡眠をとった後、ひとつはアヤのそばに、ひとつは私のそばに。
「ねえ、パパ、もう街に帰れないかもしれないね」
「悲観的になることはないさ」
「フライングアイだけでも連れて帰ってあげたいけど」
「そんなこと、気にしなくていいよ。これを政府に返さなくても、たいしたペナルティはない」
「でも、もうひとつのフライングアイは借りてるんでしょ」
「万一のときは保証金を持っていかれるだけのこと。どうってことない」
「今日はまた、偵察に出るんでしょ」
「ああ。それしかできないからね」
「ンドペキはちゃんとパパにお礼を言った?」
「礼を言うのは僕の方だよ」
「それはそれ、これはこれ。ね、どうなの?」
どうでもいいことだったが、話していないと不安がもたげてくる。
今日は、いったいどんなことに巻き込まれていくのだろう。
大広間や瞑想の間の見張りは縮小されている。
昨晩からはひとりだけ。
あの黒い影を、ンドペキがJP01だったと思ったからである。
瞑想の間には物資が山積みになっている。
が、これもいつしか尽きる。
「そういえば、スゥはどうしたんだろ」
昨夕、作戦会議には出ていなかったように思う。
隊員ではないので、そのこと自体は不思議ではないが、いつから姿を見ていないだろう。
「確か、アヤを連れて帰ってきてから、彼女、見てないよ」
「そういえば、僕も。アヤが意識を取り戻したときには、そばにいてくれてたけど……」




