521 直ちにレイチェル閣下を
南軍が停止した。
「ロクモン将軍の隊とお見受けいたす! 我々は」
ンドペキに最後まで言わさず、
「敵と話し合う気はない!」
と、初めて、南軍指揮官の声。
「直ちにレイチェル閣下を解放されよ!」
「違う!」
「ニューキーツの街へお連れ申せ! 期限は、六時間! 解放されぬ場合は、当方は容赦なく汝らを殲滅する!」
そういうなり、南軍は後退を始めた。
「待て! レイチェルを拘束しているのではない! 我々はレイチェルと共にあるのだ!」
どう叫べど、相手はもう応答しようとしない。
チョットマは怒り心頭に達した。
「あんた達! 何寝ぼけてるの! 私達がレイチェルをエーエージーエスから助け出したのよ!」
この抗議にも、返事はない。
「真実を見ないで行動するのが、レイチェルの軍か! それが防衛軍なのか!」
スジーウォン。
「クソッ!」
繰り返し事情を説明するが、南軍はそのまま遠ざかっていった。
「ちきしょう!」
東部方面攻撃隊として、こんな侮辱はない。
担架に乗せるにしろ、背負子で担ぐにしろ、六時間あればレイチェルを街へ送り届けることはできるだろう。
しかし、それでは相手の誤解を正当化する。
しかも、その後の東部方面隊の名誉回復は不明だ。
レイチェルを手に入れた後、心おきなく攻撃される恐れもある。
むしろ、南軍の態度から判断すれば、そう考えるのが妥当だろう。
レイチェルはその誤解を解いてくれようとするだろうが、一旦暴発している軍を押しとどめることができるだろうか。
「コリネルス、今の応答をレイチェルは聞いていたのか!」
「ああ、聞いていた。それどころか、飛び出して行きそうになった」
いっそ、そうすればよかったのに、とチョットマは思った。
「あの指揮官は!」
「ロクモンだと言った」
「むうう」




