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510 砂塵の人影
砂塵の中に人影があった。
追いついたのか。
「貴軍の指揮官にお会いしたい! こちらはイコマと申すもの!」
「イコマ!」
女の声だった。
砂塵の中に立っている。
武装はしていない。
むっ。
イコマは急減速し、手前数十メートルの位置で停止した。
もう一度、用件を言うべきか、と思った途端、女がまた叫んだ。
「イコマなの?」
「そうだ!」
「ああ!」
「貴軍の指揮官を話がしたい! 案内を!」
「ノブ!」
女が飛んだ。
あ、と思ったときには目の前に立っていた。
「ノブ!」
様子がおかしい。
荒地軍ではないのか。
「あっ」
イコマは女の手に握られていた。
きわめてすばやい動きだった。
「なにをする!」
「ああ!」
「離せ!」
「ノブ!」
女の顔が見えた。
むっ?
泪。
「ノブ!」




