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508 とても昼間とは思えないほど薄暗い

 異様な光景だった。

 空は、黒いレースを何枚も重ねたよう。

 太陽は隠され、空の一片さえ見えない。

 とても昼間とは思えないほど薄暗い。


 イコマは全速力で荒地軍が集結している地点に向かっていたが、胸騒ぎが収まらない。

 このパリサイドの行動は何を意味するのか。


「妙だ」

 荒地軍が洞窟を攻撃するつもりなら、朝早くから作戦を開始できたはず。

 それが何らかの事情で遅れたことによって、パリサイドの襲来を招いてしまったのだろうか。



 空一面のパリサイド。

 荒地軍の上空だけに展開しているのではない。

 はるかかなたの空まで暗い。

 ニューキーツ地方全域を覆っている。

 街も薄暗がりに沈んでいるだろう。


 連中は、どんな攻撃ができるのだろう。

 予想ができない。

 自由に体を変化させることができる。

 しかも、飛行系。

 だが、攻撃は?


 想像は様々にできるが、最も常識的な推測は爆撃だ。

 ただ、何を浴びせるのか。

 何らかのエネルギー弾なのだろうが、その規模は。


 荒地軍もそれがわからず、様子を見ているという状況なのだろうか。



 イコマはまた空を見上げた。

 パリサイドの数がますます増えている。

 黒いレースは、幾重にも分厚く重なっている。

 もう、薄暗いどころではない。


「急がねば」


 荒地軍の陣地はもう目と鼻の先。

 彼らが注意を怠っていなければ、フライングアイが近づきつつあることを察知しているだろう。

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