502 誰しも笑みを返すだろう微笑
荒地軍の動きはない。
伝令として飛んだパパもまだ帰ってこない。
大広間に集まった隊員に、ンドペキが状況を説明していた。
もし、荒地軍がアンドロ軍であれば、洞窟の通路を通り、エリアREFを経由して街へ帰還するという策。
その場合、アヤの扱いが問題になる。
一命を取り留めはしたものの、意識はまだ戻らず、絶対安静が必要な状態である。
今は別室で、イコマのもう一つのフライングアイら数人が付き添っている。
チョットマは、ンドペキの声を聞きながら、KC36632のことをぼんやり考えていた。
サリの姿をして現れたという。
顔を借りるとか、姿を借りるとは、どういうことなのだろう。
単に真似ているということなら、癪に障るが、まだ許せる。
しかし、もし体を乗っ取ったというようなことなら許せないことだし、サリを元通りにしなければいけない。
このことをンドペキはどう考えているのだろう。
KC36632もさることながら、レイチェルにも腹を立てていた。
ふがいなくもアンドロの策謀に嵌まり、エーエージーエスに閉じ込められた。
それが今回の騒動の始まりではないか。
その代償は大きかった。
ハクシュウが死んだ。
私たちの隊長が。
いわば、レイチェルが原因ではないか。
そのレイチェルが、遅れて大広間に入ってきた。
どよめきがおきた。
顔の包帯がとれていた。
目の覚めるようなホワイティーアッシュの長い髪で、くりっとした目にエメラルドの瞳。
控えめな鼻にふっくらとした頬。
形の良い唇には、誰しも笑みを返すだろう微笑が浮かんでいる。
チョットマも驚いた。
似ている! なんとなく自分に!
背格好や体型もそっくり。
隊員達の中には、レイチェルとチョットマをあからさまに見比べている者もいた。
サリに似ているという声も聞こえた。




