50 脳内に何かが生まれてくるように
!!!
思わず叫びそうになった。
カップを取り落としそうになった。
---かつて愛した二人の女性を、僕はずっと探し続けている---
---ええーっ、ふたりも!---
---ハハ、ひとりは恋人。もうひとりは、なんていうかな、娘といわせてもらってもいいだろう---
---へえ! なんていう人? 私はすぐに忘れてしまうけど、パパなら何百年経っても覚えてるんでしょう---
---もちろん忘れるものか---
---だよね!---
---サンジョウ ユウ。そして娘は、タチバナ アヤという---
バードはこの部分を何度も何度も、読み返した。
「サンジョウ ユウ」と「タチバナ アヤ」
橘 綾……、……、私の名前……。
本名を……。
この男性は……。
読めば読むほど、様々な記憶が押し寄せてきた。
次から次へと。
脳内に何かが生まれてくるように。
忘れていた!
えっ!
どういうこと!
まさか!
そんな!
今の今まで、忘れていた!
私が誰か、ということを!
ああ、もう間違いない。
これは……。
この男性は……。
涙が頬を伝った。
やっと……。
会える……。
おじさん!




