499 そんな話もどんどんして!
「JP01だったような気がして。で、そいつは、スゥの話を思い出せと言ったんだ」
「へえ」
「俺は思い出せなかった。結果として、間違った札を取ってしまった。なあ、スゥ。あの怖い話、俺へのヒントだったのか?」
「さあ」
「さあ、って。もしヒントなら、頭の悪い俺にでもわかるように言ってくれないと」
「ヒントだなんて、私、知らなかったもの」
知らなかった、とは、また妙な言い方だ。
「おまえ、知ってたんだろ」
「なにを?」
「木や鉄やセラミックが何を意味するか」
「何のこと?」
「ごまかすな!」
簡単に説明したが、それでもスゥは反応しなかった。
まあ、いい。ここで蒸し返すことでもない。
スゥを追求するのはやめよう。
もうどうでもいいこと。
「あそこでチョットマが来てくれなかったら、俺は今頃どうなっていたか」
パキトポークが陽気に言った。
「女を抱いてる夢でも見てりゃよかったのに」
「阿呆め! そんなのは、もう夢でも見るか。現実でも。おまえは、まだそんな……、おい!」
スゥがいるんだぞ。
しかし、当の本人は、
「いいよ! そんな話もどんどんして! 外に出られたことが実感できて、うれしいよ!」
と、笑った。
「今、ここで! ンドペキに抱いて欲しいくらい!」とも。
「なっ」
「おい、俺じゃないのか? さっきまで一緒にいたのに!」
パキトポークが怒鳴った。
そして笑った。
とびきりうれしい瞬間が、立て続けに起きる。
あそこでチョットマに出会ったときもそう。
ハクシュウは死んだ。
そして俺達はとんでもない状況にある。
それでも、こんなに笑い合える。
苦あれば楽あり。
降り止まない雨は無い。
生きていく喜びや楽しみ。
使い古された言葉を思い出した気がした。
スゥが、また「ありがとう!」と叫んだ。
その喜びに満ちた声が、心を震わせた。




