493 そういえば、会談の日は?
ンドペキは地上に出て、森に足を踏み入れていた。
この仕事は誰にも任せられない。
コリネルスやスジーウォンは、荒地軍の攻撃に対応しなくてはいけない。
彼らが立てた作戦だ。
自分が肩代わりして上手くいくとは限らない。
お供にチョットマを連れて行きたかったが、彼女には、万一のとき、街への通路を案内するという大切な任務がある。
久しぶりに大気の匂い、森の香りを思い切り胸に吸い込んだ。
攻撃要員ひとり、通信要員ひとり、医務官ひとりを連れて、エーエージーエスの入り口に向かう。
背中のホトキンは、オーエンの元へ連れて行くことに了解する様子はない。
ただ、嫌ではないのだろう。
チョットマから聞いたライラの言葉を伝えると、かすかに笑ったように唇を歪ませた。
幸い、KC36632が伝えてくれた荒地軍の宿営地の位置は、エーエージーエスの入り口から少し離れている。
森の中に潜み、荒地軍が洞窟に向かって移動を始めてから、その背後を回って入り口に向かえばいい。
見上げると、パリサイドが数人、夜空を舞っていた。
出発前に想定していた地点に到着した。
後はここで、荒地軍が移動を始めるのを待てばよい。
彼らが当方の存在に気づいたとしても、こちらはわずか四人。
様子を探りに来るかもしれないが、本隊は洞窟に向かうだろう。
数名が相手なら、勝つ見込みもあるし、なければ逃げればいいだけだ。
その後、エーエージーエスに向かえばいい。
「ンドペキ、ちょっと休んでください。荒地軍は私が監視していますから」
隊員が気遣ってくれる。
「あなたは、ここ二日、まともに休んでいない」
ンドペキはありがたく、目を瞑った。
木片は夢か……。
本当に、楽しいピクニックの夢でも見たいものだ。
しかし、まぶたになにが浮かんでくるわけでもない。
たちまち、夢も見ない深い眠りに落ちた。




