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491 タールツーという人物
「首謀者は? なんという名ですか?」
「ニューキーツの、ということですか?」
「そうです」
「それは……」
レイチェルが言いよどんでいる。
包帯で表情が見えないことは辛いが、目が明らかに迷っている。
何を迷うことがある。
そう思ったが、レイチェルはしばらく間を置いただけで、きっぱりと言った。
「治安省の前長官、タールツーという人物です」
「失礼な言い方ですが、ではなぜ、手を打たなかったのです?」
「彼女が自分の部隊を持っていることが判明したのは、つい先日のことです」
「あ、女性ですか」
「そうです。その証拠を掴みましたので、すぐにでもその中心人物数名を拘束するつもりでいました。しかし、間に合わなかった。パリサイドが来てしまったのです」
「タールツーというのは、どんな人物なのでしょう?」
「冷徹、そして優秀。組織を纏め上げる能力も高い。加えて美貌の持ち主で、極めて健康です。ただ、かなりな高齢です」
復讐。
そんな気持ちがイコマを捉えた。
「普段はどこに?」
「いえ、それが……、不明なのです」
レイチェルが不安な目をした。
「人前に姿を現さないのです。長官級の会議にも代理ばかりを立てるような人で……」




