表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
490/731

490 おびき出す餌!

「良い人と巡り合い、恋し、愛する人と結ばれ、子供を生み、育てていくという、人として当たり前の暮らしが無いのだということに」


 レイチェルは努めて淡々と話している。

 包帯の中の目に、その努力が見える。


「そして自分達には友情さえもないことに。彼らは、それらを手に入れたいと思っているのです。そのための権利を。あるいは権力を」


「与えればよかったのでは?」

「私はそれもいい、と思っています。今となっては。しかし、できません。愛があるなら、憎しみや怒りの感情も生まれます。それは表裏の関係ですから」

「そうですね」

「そして、彼らが自らの意思で繁殖を始めれば、地球はアンドロが完全支配する星になるでしょう。そこには抵抗感があるのです。それに、我々人類は、純血を尊びます」


 ほとんどのホメムはそう考えている、とレイチェルは言う。

 自分は違う、と言っているようで、イコマはレイチェルのずるさを感じた。



「彼らは私をあそこに幽閉し、私の偽者を作って、ことをスタートさせようとしているのでしょう」

「偽者を……」


「そうです。バードは私のたった一人の親友です。彼女をまず、あそこに閉じ込め、私をおびき出した。私は彼らの謀略にまんまと引っかかりました。たいした護衛もつけないまま、彼らの本拠に乗り込んでしまいました。そして、こんなことになってしまいました」


 そういって唇を噛んだ。



 そうだったのか!

 アヤは、レイチェルをおびき出す餌だったのだ!


 もうレイチェルに対して、怒りを感じなかった。

 レイチェルの、感情を抑えた話しぶりに、彼女も犠牲者なのだと思う気持ちが生まれていた。

 ずるい面もあるが、それはかえって正直さの現われ、とも思えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ