487 自分が使者となるしかない
では、使者を送るのはどうか。
イコマのこの案にも、ンドペキは首を縦に振らなかった。
ハクシュウが殺されている、と答えるのみだった。
それも理解できる。
ハクシュウが殺され、チョットマやスミソは砲撃を受けている。
荒地軍は敵。
しかも、数の上で圧倒的に不利。
使者をのこのこ向かわせるのは、降伏の印以外の何物でもない。
ンドペキ達からすれば、もはやありえない選択。
それでも使者を送ったとして、相手がアンドロ軍か、街の正規軍か、どう見分ければいいのか。
万一、騙されてレイチェルを敵の手に渡してしまうことにならないか。
「敵の軍か、あなたの軍か、どうすれば見分けがつくのでしょう」
明確に見分けがつくなら、事態解決に何らかの方法があるだろう。
「それは難しいご質問です。私は、相手を見たことがありませんので、どんな装備なのか、何か印をつけているのかもわかりません。正規の防衛軍はトカゲのバッジを付けていますが、それとて彼らが真似をしておれば見分けはつかないと思います」
ハクシュウを倒した軍は、トカゲのバッジを付けていただろうか。
遠くからでは、しかもフライングアイの視力では視認できなかった。
「防衛軍の将軍の名は挙げることができます。彼らは皆、マトないしメルキトです。アンドロの一派に鞍替えするとは思えません」
レイチェルが、四つの名を挙げた。
イコマは、自分が確かめにいく、あるいは使者となるしかない、と思い始めていた。
しかし、ンドペキにまず話を通さねばならない。
ここでレイチェルに許可を得るわけにはいかなかった。
話題を変えよう。
もうひとつの本題に。




