485 隠された城門
レイチェルが語る。
アンドロに大きな兵力があるとすれば、次元の扉を通過してくることになる。
その次元を繋ぐ扉は、政府の建物内に大小三十箇所近くある。
それぞれに、移動をチェックする機能は備わっているが、残念ながらそれらはアンドロが掌握している。
治安省の管轄であり、その長官がアンドロだからだ。
「アンドロが万一攻め来た場合のシミュレーションは行われています。次元の扉を通って来るしかありません。彼らは一旦、政府建物内に身を隠すことになるでしょう」
政府建物内には、マトやメルキトがいないエリアも多く、軍の集結や移動にそれほど大きな支障はないという。
「私達、つまりホメムやマトやメルキト側は、万一に備えて、監視網を張り巡らせてあります」
しかし、全域がカバーできているわけではない、という。
表向きはアンドロと共に世界を運営しているわけだから、あくまで隠密の監視網。
防衛軍の要員やその他の兵力を、アンドロに対抗する形、つまり次元の扉を封じる形で配備することもできない。
アンドロ軍がこの次元に出現したとき、監視網をかいくぐることもあるだろう。
むしろ、政府機関内の移動さえ、気付けないかもしれない。
そうなった場合を念頭に、市民の居住区への侵攻を食い止めることを最優先にした部隊配置をしている。
つまり、街の中にアンドロ軍が大移動することは考えられない。
それは防衛軍が壊滅したとき。
「では、アンドロ軍が荒野に展開することは考えられないと」
「違います。隠された城門が二箇所あります。通常の作戦や訓練で、防衛軍やその他の兵力がその城門を利用することはありませんし、ハクシュウも知らないはずです」
「そこを通れば、アンドロ軍が出てくることは可能、だと」
「そうです。ただ、アンドロ軍がそこを通れば、防衛軍と局所的な戦闘になったはずです」




