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475 再生は、時期的に考えて

「先ほどのイコマさんの推理に感服いたしました。おっしゃるとおり、サリはレイチェル長官のクローンです」

 ハイスクールの最終学年、卒業直前に編入いたしました。

 レイチェル長官とあまり大きな年齢差があると……。

「ううっ」


 と言うなり、突っ伏してしまった。

 そして、おいおいと泣きだした。

 子供のように、口を開けて。



 イコマは驚かなかったが、ロクモンなどは思わず手を差し伸べかけ、スジーウォンは目を剥いた。


「私は、任務を……」


 ハワードはしゃっくり上げ、手の平で涙を拭った。

 アンドロならではの感情の爆発である。

 コントロールがままならないのだ。


「……、全うすることができませんでした……」

 そして、また涙をこぼす。

「私がここに来たのは……」


 大きく息を吸って、気持ちを落ち着けようとしている。


 イコマは、もしハワードが話さないなら、自分が推理を展開し、ハワードの追認を求めようと考えていた。

 しかし、それは杞憂に終わりそうだ。

 ハワードは苦しみながらも、真実を話すだろう。そんな気がした。



「長官をサリから守ろうと……」


 ハワードは、サリが再生されたことを知り、彼女の様子を見ていたという。


「実は、サリは記憶が抹消されて再生されたものと思っていたのです」


 しかし、様子がどうもおかしい。

 東部方面攻撃隊の行方について、情報を集めているようでした。

 そして昨日のことです。ジャンク品の兵士用ブーツを手に入れたのです。


 胸騒ぎがしました。

 サリの記憶は完全抹消とはされず、残されているのでは。

 そしてサリは、この洞窟に向かおうとしているのではないか。

 東部方面攻撃隊に合流しようとしているのではないか。


「しかし、IDも名前も変わっているのです」


 つまり、記憶は残されているとしても、その内容や性向は操作されている。

 その可能性が高い。

 同じ容姿だとしても。

 元のサリのままではないはず。


「そして、サリの再生は、時期的に考えて、レイチェル長官が意図したものではありません。なぜなら、長官があそこに閉じ込められてからですから」


 それに……。



 ハワードは言いよどんだが、やがてきっぱりとした声で言った。


「私の本当の任務について、お話しします」

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