464 俺達の仕事が終ってからにしてくれ!
「いや、KC36632だった」
「なに!」
たちまち、そんな声が聞こえた。
「なぜ!」
ロクモンの発した疑問も、後が続かなかった。
KC36632なら、なぜ捕らえなかったのか、と言いたかったのかもしれない。
しかし、それは無理だと見せつけられたばかりだ。
巨大な攻撃力を。
たったひとりのパリサイドの力。
巨大クレーターを生む力。
とても、捕らえることなどできまい。
「KC36632は、レイチェルが刺されたことを知っていた」
ンドペキの言葉に、再びロクモンが反応した。
「それは」
当然ではないか。
しかし、その声も発せられることはなかった。
ンドペキが、
「彼女がレイチェルを殺したんじゃない」と、言ったからである。
「おい! そんな話は、俺達の仕事が終ってからにしてくれ!」
パキトポークの怒鳴り声が聞こえた。
戦勝気分は吹き飛んでしまい、チョットマは強烈な不安を感じた。
ンドペキが断言した言葉が意味することは、明白だった。
ンドペキも、あれはサリだったと思っている!
クレーターの周囲にも、敵軍の生き残りはいなかった。
「洞窟へ!」
ンドペキの言葉に、隊員達が撤収を始める。
軽口を叩く者もいたが、まるで敗戦だったかのように、総じて沈鬱なムードが漂っていた。
チョットマはンドペキに声を掛けたい衝動に駆られたが、口を開けばサリという名が出てくる。
黙って後ろに従うしかなかった。




