455 こんな形で罰を受けることになってしまった
「あなたは私自身。その気持ちはひしひしと伝わってきていたのよ。私自身の気持ちとしてね」
ユウは穏やかに言うが、その目にも涙があった。
「あのことがあって、私はあなたとの同期が完全ではないと気付いた。スゥはスゥの意識に従って行動しているということに」
「そうじゃない……」
「ううん。無理しなくていいのよ」
ユウはあくまで優しくスゥに語り掛けていた。
「ねえ、スゥ。ノブとンドペキはどうなっていくと思う?」
「…わからない」
「でしょう。私とあなたが完全に同期できていれば、わからないなんて言い方はしないはず」
「……」
「ノブとンドペキの同期は、きっと上手くいくと思う。今はまだ、ンドペキとノブの意識は、共存しているだけ。ひとつにはなっていない。でも、半年か一年も経てば、ンドペキだノブだっていう、パラレルの関係はなくなるでしょう。両方の知恵と経験と記憶を兼ね備えた意識を持つようになる。そこに違和感はないし、葛藤もなくなるのよ」
ユウが向き直った。
「ンドペキ、それは寂しいこと?」
わからない。
確かに、今はまだンドペキの意識だとか、イコマの意識だという判別ができる。
それが融合することに寂しい思いをするだろうか。
「わからない……」
そう言いながら、すでに寂しいという気持ちがないことに気付いていた。
むしろ、喜びがあることに気付いていた。
ただ、戸惑いはある。
「ユウ、俺たちはいったい、どうなるんだ? おまえがしたかったこと、なんなんだ?」
俺はパリサイドであるユウと、クローンからマトになったスゥを、同じ人間として愛し続けることになるのだろうか。
それとも、ユウとスゥを別の人として愛することになるのだろうか。
本来、それは自分の問題のはず。
ユウを愛していることを形にして表してこなかったことが、ここに来て、こんな形で罰を受けることになってしまったのかもしれない。
ンドペキは、イコマは、そう思った。
「私がクローンだってことは、ずっと知っていた」
スゥが声を絞り出した。
「六百年前。それを知った。マトになる申請は通らない。クローンだから」
スゥが声を震わせた。
「私は政府のとある権力者に近づいて愛人になった。マトになるために」
「そうだったの……」
スゥの身の上話。
「私が誰のクローンなのか、知らなかった。ううん、知らないはずはないよね。私は三条優だから。でも、他人のような気がした。そしていつしか憎んでいた。お門違いよね……」




