445 片時も目を離すな
「ねえ、ンドペキ」
「はい」
猫撫で声のレイチェル。
妙なことを想像してしまった。
まさか、レイチェルはこのヒョロリ男に……。
ありえない。
レイチェルはなんとしてでも、子をもうける必要がある。
たとえ、メルキトやマトとの間の子であっても。
アンドロは……。
と、レイチェルの声音が変わった。
長官としての口調に。
「ハワードは、私の信頼する部下です」
ハワードがますます姿勢を正す。
そして、ンドペキは驚いた。
部下?
こいつは一職員ではないのか。
「私が囚われたことによって、任務継続かどうかを確認に来ました。しばらく私も考えたいと思います。その間です。明確な指示を出すまで、彼に身近に置きたいと思います」
そう言われては、むげに追い返すわけにはいかない。
ちらりとロクモンを見ると、我関せずという風で、あらぬ方を見ている。
仕方がない。
ンドペキは半ば投げやりにハワードに言った。
「では、部屋を用意しよう。相部屋になるが」
「はい。お手数をおかけします」
「このような場所だ。細かいルールがある」
「もちろんです」
部屋を決めた。
相部屋になる隊員に、ハワードの行動を監視し、些細なことでも報告するよう命じた。
向かいや隣の部屋の隊員にも。
いいか、片時も目を離すな。
特に、レイチェル、アヤ、チョットマとの接触に注意しろ。他の女性隊員もだ。
そして大広間に向かった。




