442 仕方ないわね!
KC36632は大広間に待たせてある。
レイチェルの部屋には、ンドペキただひとり。
「アギの意見はイコマさんに聞くとして。あなたの隊に、メルキトはいない?」
「いるけど、そいつの意見より重要なのは、あんたの意見だろ。早く決めてくれ」
「その人の意見も聞きたいな。私の命令だから連れて来い、って言ってもだめ?」
「頼むよ。悩んでいるわけじゃないんだろ。しばらくの間、再生されなくなるからといって、誰も恨みはしないよ」
「そうかなあ」
レイチェルが真剣な顔つきになった。
「機器が破壊されたら、復旧にはかなりの時間がかかるわ。一年、二年、その間に死んだ人は? それに、最悪の場合、復旧できないかもしれない。死んだらもう二度と、この世で会えなくなるかもしれない」
言われるまでもなく、その可能性は十分理解している。
アンドロとの戦いに速やかに勝利し、政府の各機関を手中に収め、元のようにエネルギーや各種の資材を自由に使えるようになってこそ、復旧が開始できるのだ。
「だからこそ、あんたが決めなくちゃいけないんだよ。ニューキーツの最高責任者なんだから」
レイチェルは、「ハーッ」と息を吐き出し、「仕方ないわね!」と、ペンをとった。
「許可する。ただし、破壊の進捗については遅滞なく報告すること」
書簡のJP01のサインの下にそう書いて、自分のサインとハートマークを書き込んだ。
ンドペキはそれを見届けて、KC36632を呼びにいった。
KC36632が、レイチェルの部屋に向かう間に小声で話しかけてきた。
「JP01がお会いしたいそうです。明朝六時に、森で。イコマさんもお連れくださいと。外で私がお待ちしておりますので、案内させていただきます。なお、申すまでもありませんが、内密に、とのことでございます」




