437 なぜアヤのことを殊更に念押しするのか
「本当にややこしいよ。僕はンドペキなのかイコマなのか、だんだん曖昧になってきてる」
「完全に同一化すれば、ややこしくもなんともなくなると思うよ。回りの人にも言えるしね。今の状態で周囲の人に話したら、かなり混乱すると思う。特に今のような切迫した場面では」
「だろうな」
「アヤちゃんにもね。彼女自身も混乱するだろうし、それが周辺に漏れ出さないとも限らない」
「アヤちゃんは、そんなことをばらしたりしないよ」
「そうね。でも、精神的にはきついと思うよ。ンドペキがイコマさんだと知って、知らん振りし続けるのは。あ、そうそう。念のために言っておくけど、ンドペキはあくまでンドペキとしてアヤちゃんに接してね」
「わかってる」
なぜスゥがアヤのことを殊更に念押しするのか、奇異な感じがしたが、取り立てて聞いてみたりはしなかった。
ホトキンの間を通り過ぎた。
「大丈夫」
「どう大丈夫なんだ?」
「だって、いろいろ仄めかすだけでも十分じゃない」
「何を?」
「そう、弱点、かな。今日のところは、それでいいんじゃないかな」
「任せる。でも、ライラは絶対に要求してくるぞ」
「でしょうね」
ライラは、あのタブレットを見たのだ。
そして、何が起きたかを見ていたのであれば。
「きっと、欲しがるでしょうね」
「ああ」
「でも、私はあのタブレットの作り方を知らない。JP01からもらった。パリサイドからもらったと言えば、ライラも二の足を踏むかも」
「自分で使うんじゃなくて、売りつけるとしても?」
「彼女なら、商売にすると思う。良心に賭けるしかないわね」




