431 夢、見てた
アヤがうっすらと目を開けた。
かと思うと、またまどろみの中に戻っていく。
もう、アヤのそばに隊員が付いてはいない。
扉は開け放たれてあり、隊員達が入れ替わり立ち代り、覗いていく。
それとなくアヤを見てくれているのだ。
心優しき隊員達。
もちろん、レイチェルも一日のうち、多くをアヤの部屋で過ごす。
みんなに見守られて、うれしいよな、とイコマは声に出さすに言った。
自分やユウのことをまだ話せないなら、ハワードの事を聞いてみようか、という気にもなる。
ハワードの言葉。
あれは本心だったのだろうか。
このところ、ハワードは姿を見せない。
サリのことをさらに詳しく調べてみると言ったきりだ。
冷たくあしらい過ぎたのかもしれないが、イコマは疑心暗鬼になっていた。
彼は、何らかの意図で情報を収集しているだけではないか。
あるいは、逆にすでに捕えられてしまったのかもしれない。
アヤはどんな反応をするだろう。
アヤが目を開けた。
こういうとき、イコマは歯がゆい思いをする。
目を覚ましたアヤの髪も額も、撫でてやれない。
言葉を掛けてやるしかないのだが、気の効いた言葉をそれほど多くは持ち合わせていない。
「一段と顔色がよくなってきたね」
などというほかない。
「夢、見てた」
本当はアヤの顔色はよくなかった。
額に汗までかいている。
きっと、よくない夢でも見ていたのだろう。
しかしイコマは朗らかに聞いた。
「へえ、どんな夢?」
「仕事している夢。いやだよね。職場の夢、見るなんて」
「復帰したい?」
アヤは少し考えて、
「どうかなあ。わからない」と、目を伏せた。
「職場といえば」
ハワードとは誰か、と聞いた。
同僚だと応えるアヤ。
その返事の仕方が想像以上に短かったことで、イコマはさらに聞いてみようという気になった。
「どうして僕がハワードを知っているのか、聞かないんだね」
「だって」




