416 疑問が渦巻いてる? 吐きそうな気分
「まず、アギのノブからね」
「ああ」
「すでに、ンドペキはノブの記憶や思考をすべて手に入れた。というより、取り戻した」
「むう……」
「もともと、ンドペキは生駒延治その人やから」
「なんという……」
「疑問が渦巻いてる?」
「吐きそうな気分」
「フフ、フライングアイが? でも、どう?」
「ンドペキのことが、すべて自分のことのように理解できる」
「そうね。お互いが相手の記憶や知識、思考や感情をすべて交換し合ったのよ。そして、今は同期している」
「のようだ」
「アギのノブが考えたことは、ンドペキが考えたのと全く同じこと。逆もそう。ンドペキが今時点で感じていることは、アギのノブにも分かるでしょ?」
「ああ。恐ろしいくらいに」
「でも、区別はつくよね。自分の中で。これはアギのノブの思考で、これはンドペキの思考って」
「ああ」
「ンドペキはどう?」
信じられないことが起きていた。
全く、ユウのいうとおりだった。
「いろんな疑問や不安があると思うけど、まず現状をざっと説明するから、聞いててね」
ふたりのノブは今完全に同期した。
思考を共有した。
しかし、肉体はふたつ。人としてもふたり。
それぞれに思考を持つ。
だから、全く同じというわけではない。
ンドペキはンドペキとして考えるし、アギのノブは生駒延治として考える。
ただ、それは同期していて、共有の経験となる。
「ここまでいいかな?」
ンドペキとイコマが同時に、「わかるような気がする」と言った。
その言葉がンドペキの心の中でこだました。
「次は、ンドペキ」
「ああ」
今言ったように、あなたはイコマ。
大阪に住んでいた日本人、生駒延治。
一緒に住んでいた私は、紆余曲折があって神の国巡礼教団とともに、宇宙に飛び立つことになった。
絶対に帰って来るつもりだった。
「話したから、覚えてるよね」
「ああ、覚えている。つい先日のことだ」
イコマとして聞いたことである。
「そうそう、その調子。記憶の取得は大丈夫みたいやね」
「……そうみたいだ」




