41 目玉親父だな
チョットマは、ンドペキやスジーウォンなど、リーダー連中のうわさを始めていた。
反応が薄くなったことに気づいて、チョットマが頬を膨らませた。
「ねえ、パパ、行かないの? 娘が誘ってるのに?」
娘にピクニックに誘われて、断る親がどこにいる。
フライングアイが壊されたら? それがどうした!
「どうやって一緒に行くつもり?」
「簡単。私のリュックサックに入っていけばいいよ」
「リュックサック! そりゃいいね!」
戦闘服に身を包んだチョットマが、リュックサックなんて平和なものを背負っていくはずもないが、その表現が気に入った。
「いいでしょ! パパは楽チンだよ」
「でも、それじゃ、外が見えないよ」
「へへ、実はね」
作戦の詳細は話せないから、と前置きし、具体的な部分に触れないように、自分の任務について話してくれた。
チョットマはンドペキのチームに属しているが、今回の行軍では、補給班兼救護班なのだという。
「だから、荷物を持って、後ろからついていくだけ。大八車の上にでも括り付けておいてあげるわ」
「大八車! どこでそんな言葉を習ったんだい!」
大八車の上に括り付けられて、「オイ、チョットマ!」と、鬼太郎の目玉親父の声音を真似るシーンを想像して、イコマはおかしくなった。
「私も、少しは本を読むよん」
「そりゃ、相当な古典小説だね」
「ね、そこらへんは任せておいて」
待ち合わせ方法を決めてから、チョットマは部屋を出て行った。
イコマは、もう迷ってはいなかった。
マトと連れ立って、街の外に出るのは初めての経験だ。
街から外れてそんな遠方まで出かけていくのも、初めてのこと。
胸をときめかせた。




