408 アヤちゃんはまだ無理よね
JP01の変わり身は極端だった。
話しぶりも声音も、先ほどとはうって変わって、親しみモード全開だ。
目さえ笑っている。
「あなたとチョットマのパパさんに話があるんだけど」
「何でしょうか」
「今じゃないわ。レイチェル長官との会談が済んだ後。どこかに場所を用意してくれない?」
異存はない。
「スゥも呼んで欲しい」
「かしこまりました。いい? イコマ」
「もちろん」
「アヤちゃんはまだ無理よね」
「ん、難しいです」
「そう。本当は立ち会って欲しいけど、しかたないわね」
スゥにアヤ。
作戦の話ではない。
「他には?」
「私とスゥ、パパさんとあなた。それで十分よ」
了解だとは言ったものの、ンドペキは胸騒ぎがした。
アヤちゃんはまだ無理……、JP01はどこまで知っているのだろう。
不安が頭をもたげるが、ここはスルーするところ。
スゥがシリー川の会談でJP01に向かって発砲したことを思い出した。
はるか昔の出来事のようだ。
JP01は、スゥを交えて話したいという。
旧知の仲のようにスゥと呼び、親しみさえ匂わせている。
奇妙な申し入れだ。
あの発砲事件の後、何があったのだろう。
しかし、これもスルーしておこう。
そういえば、そのことについても、スゥにはまともに聞いていなかった。
「だれにも邪魔されないところで」
「はい」
慎重に考えた。
現実的に、そんな場所があるだろうか。
「それに、私達が会うこと自体を秘密にできる?」
「え?」
「レイチェル長官にも内緒で」
「ん……」
「誰にも気づかれずに」
現在、洞窟内に余っている部屋はない。
自分の部屋?
声が漏れ出さないとも限らないし、そこで集うことは隊員達に知られてしまう。
「洞窟内で、秘密の会談ができる場所はないと思います」
「そうねえ」
「締め切ることができるのは、スゥの部屋だけです」
「スゥの部屋ねぇ」
JP01が難色を示す。
洞窟の外は、ンドペキ自身が誰にも見咎められずに出て行くことができない。
洞窟から出ずに行ける、秘密の会談にふさわしい場所は……。
ホトキンの間しかない。




