404 蛇の話
ライラは、エリアREFについても教えてくれた。
チョットマが最も刺激を受けたのが、そこに君臨する蛇の話。
その話は、チョットマが白い蛇を見たと話したことから始まった。
「さすがだねえ」
「何が、さすがなの」
「だって、おまえは小さな魔物ちゃんだろ」
「違うって!」
「ハハ、そうだろうとも。自分が何者かなんて、誰も気がついていないものさ」
「だから、違うんだって!」
「ここじゃ、おまえの話でもちきり」
「えっ? どんな話?」
「おまえはあの大蛇に触れた。羨ましがる者が多うて」
「大蛇? 三十センチほどの蛇だったけど……」
チョットマは、生まれて初めて蛇という生物を見たのだと言った。
「チョットマよ。目に見えるものがその実態とは限らんぞ。どこで出会った?」
プリブが殺されたときのことを話した。
「ふーむ。つまりはそやつ、大蛇を見たんだな。そして、大蛇の力を知っておったからこそ、退散したんだな」
「でも……」
「今も言ったろう。おまえが自分の目で見たからといって、それが真実とは限らぬ。真実が目の前にあってもそれに気付かないのは、目に見えたことだけが正しいと思ってしまうから」
そうかもしれない、とチョットマは思ったが、それ以上深い思考は自分には無理だと思った。
「あれは、エリアREFの主と呼ばれている。守り神、と言う者もおるな。おまえが見たものはそのご本尊かもしれぬし、眷属かもしれん」
「そう……」
「あれがおるおかげで、ここは平穏を保っているともいえる。あたしは神など信じる気はないけどね」
ライラが言うには、エリアREFは、外見ほど恐ろしいところではない。
地表の街で暮らさずに、地下で暮らしたがる者もいる。
「ただ、それだけのこと。子供達のための学校まである」
「へええっ」
「いわゆる政府のハイスクールとは、違うけどね」
驚くような話だった。
「ところで、おまえを襲った者。それ以降、危険はないか?」
「大丈夫みたい」
「あの門番をしている男に、通行料をちゃんと払うんだぞ」
「はい」
「ああ見えても、非常に強い力を持っている。下層に住む者とおまえ達以外は、絶対に通さぬよう頼んであるから、下は安全。このサキュバスの庭もな。しかし、その他の通路は誰もが自由に通行できる。気をつけねばな」
「はい」




