401 それらすべてをいつかは知りたい
イコマは、ハワードから、いくつかの情報を得ていた。
政府防衛軍及び攻撃隊の強制死亡予定者名。
防衛軍の兵士はすでに全員がリストに掲載されている。
四名の将軍の名もあるという。
一方、攻撃隊についてはンドペキ以下の隊員名が記されてあるが、チョットマだけは見当たらないということだった。
「なぜだろうと思いました。調べてみると、チョットマはサリと同じように、データがないのです。攻撃隊の構成者リストにはあるし、ハイスクールの卒業者名簿にもあるのですが、パーソナルベーシックデータが」
それ以上は分からないという。
改めて調べてみるというが、サリのときもそう言っていた。
きっと、その答は見つからなかったか、見つかったとしても信じられないようなことだったのだろう。
あるいは、ハワードにとって、隠さなくてはいけないことだったのかもしれない。
チョットマとサリの共通点という意味で、耳にだけ入れておく、そんなつもりで知らせてくれたのだろう。
ユウは、何度も部屋を訪ねてきてくれる。
少しずつ、思い出話もするようになった。
ユウが光の柱の女神になったいきさつも。
アヤの身代わりとなって、光の柱の守り人となっていたのだ。
詳しい話はしようとしない。
アヤを傷つけたくないという思いなのだ。
それに、神の国巡礼教団と共に宇宙へ旅立ったいきさつ。
これもまだ、ユウは詳しく話そうとしなかった。
ただ、任務として、神の国巡礼教団に潜り込んだのだと言うのみだった。
イコマは思う。
ユウは、スパイとして送り込まれたのではないか。
ただ、その任務になぜユウが選ばれたのか。
これには、不合理な点がある。
神の国巡礼教団は、世界の宗教が歴史的な融和を達成し、合体した後にできた組織。
ユウのような無神論者には遠い世界。
しかもユウは、グローバルでもなんでもない普通の日本国人。
何かの罪を犯し、その罰としてその任務を押し付けられたのではないか。
そうだとすれば、その罪とは、イコマ自身のあの金沢での無謀な行為が原因では。
あのときユウは、何らかの方法、つまり市井の技術では想像もできない未来的な技術を使って、イコマを大阪まで送り届けてくれた。
ユウは、僕を傷付けたくないからこそ、そのいきさつを話そうとはしないのではないか。
イコマは、それらすべてをいつかは知りたいと思った。
そしてたとえ千年かかろうとも、ユウが舐めた辛苦に償いたい、と思った。




