396 カチャカチャ
じりっ、とするような数分が過ぎた。
「ロクモン!」と、厳しいレイチェルの声が飛んだ!
「はっ!」
ロクモンは依然として額を床に擦り付けたまま。
「説明しろ!」
「はっ、この洞窟の軍に加えていただき、起死回生を図りたいと存じます!」
ンドペキは予想外の展開に驚いた。
声にはしないまでも、隊員達にも動揺が広がっている。
「このロクモン、謹んでお願い申し上げ仕る! 我が兵をお加えくださいますよう!」
レイチェルは、一拍の間をおいて、厳かに言い渡した。
「許す」
ははっー! 恐悦至極に存じます!
「きさまはどうする!」
閣下の仰せのままに!
「この軍は東部方面攻撃隊、隊長ンドペキが率いている。その指示に従え!」
はっ!
「勝手な行動は許さない。ンドペキが指揮官であり、スジーウォン、パキトポーク、コリネルスが副官である。ここにいる者達こそが、私をあの忌まわしき場所から救い出した、街の真の英雄である!」
ははっー!
「反政府軍に立ち向かわんとする真の防衛隊である。そう、心得よ!」
はっ、かしこまりました!
「きさまと兵の処遇は、すべてンドペキに委ねる!」
ははっ!
大広間の空気はそよりとも動かないまま、ロクモンが床に額を擦り付けていた。
と、
カチャ、カチャという金属音がした。
見ると、チョットマが拍手を送っている。
そしてそれは、大広間全体に広がっていった。
レイチェルは厳しい表情を変えることなく、誰とも目を交わさず、スクッと席を立ち、自らの部屋に戻っていく。
カチャカチャという音は、レイチェルが消えてもなお続いていた。




