表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/481

33 記憶 始めてのキス

 英知の壺。

 なぞる記憶は、別の場面に移っていく。



「おじさん、おはよう!」


 生駒はベッドで目を覚ました。

 目の前に、綾の朗らかな顔があった。


「驚いた! 朝起きたら、おじさんが寝てるんだもの!」

 生駒は、まだ夢うつつから抜け出せないでいたが、綾が唇を近づけてきた。

「おねえさんに叱られるけど」


 チュ。


 綾との始めてのキス。

「無事生還のお祝い」

 柔らかくて温かいキス。



「優は焼餅なんて焼かないさ」

「どうして?」

「どうしてって、僕らは家族だから」

「そうね!」




 ひと足先に大阪に帰った綾は、生駒の帰りを待ちわびる日々が続くことを覚悟していたという。

「でも、驚いた。わずか一日で帰ってくるなんて。案外早く、おねえさんに会ったのね!」

 金沢市民公園のはずれの稜線で綾と別れ、翌々日の朝には生駒は大阪に帰ってきたことになる。



「ユウに会った……」

「聞かせて!」


 あの白い世界で、確かに優の声を聴いた。

 彼女の体が触れるのを感じた。

 まるで意識はなかったも同然だったが、あの声は確かに……。


「よかった……」

「ああ」


 目的は達成されたのだ。

 あの光の柱に優が住んでいる。


 それを確かめることができた。

 そして、会うことができた!


 綾の指摘は正しかったのだ。

「本当によかった……」

 優と会えて。




 会いたい。

 せめて居場所を知りたい。

 ここ三十年、望みはそれだけだった。

 優を愛している。

 今までもその気持ちは揺るがなかったが、身近にいなくなるまで、こんなに胸を焦がしたことはなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ