表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
310/325

309 あんたは振られたんだよ

「パーティにご案内しろ」と笑顔のンドペキ。

 数名が念のために洞窟の入り口に向かったが、結局すぐに戻ってきた。KC36632を伴って。



 KC36632は、大広間に入ってくると、眩しい照明に少し目を細めて周りを見渡した。

 拍手が沸いた。

 感謝の言葉も投げかけられる。



 目が合った。

 KC36632はいつものようにサリの顔。


 フワリとした東洋的な衣装を身につけ、その下に兵士用のブーツをはいている。

 微笑むチョットマにかすかな笑みを返すと、水辺に向かって歩きだした。



 水辺にはレイチェルが立っていた。

 少し離れて控えているロクモン。

 ふたりともパーティを楽しめないのか、笑みはなく、飲み物を手にンドペキを睨みつけていた。



 フン。

 あんたは振られたんだよ。


 スゥだってさ。


 私もね。

 チョットマはレイチェルにそう言ってやりたかった。




 KC36632は躊躇なくレイチェルに近づいていった。


 誰もそれほど関心を示さなかった。

 ンドペキは、KC36632にワイングラスを掲げてみせたが、KC36632の方も軽く会釈を返しただけだ。

 レイチェルが歓迎の表情を見せている。


 チョットマは、背を向けたKC36632から目を離し、アヤと話し始めた。

「もうすっかり良くなったみたい!」

 アヤは笑って、「もう1ヶ月ね。ありがとう」

 こうして大広間に出てきたのは、今夜が初めて。


 松葉杖姿。

 椅子に座っているのは、アヤだけ。

 そのことが、彼女だけは特別。そんな雰囲気を醸し出している。


 隊員のひとりが、アヤが使いこなせる浮遊装置付きの義足を開発しようとしているが、まだ実用化には至っていない。

「楽しみにしてるの」

 その義足を装着して、一緒に行動できる日が楽しみでしかたがないのだという。





 背後で怒声が。


「捕り押さえろ!」

 振り返ると、ハワードが血相を変えていた。

 テーブルを乗り越え、食べるものが散乱した。

 ボトルが割れ、いやな音をたてた。


 なに!

 なんだ!


 えっ!

 誰を!


「こいつは!」

 ハワードが怒鳴ると同時に、KC36632の姿が消えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ