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276 仕事の話はそれでおしまい?

 ンドペキは、イコマを連れて洞窟を出た。


 事態を打開しなくては。

 パリサイドのコロニーに出向くことを決めた。


 例によってレイチェルは、自分が行くのが筋だと拘ったが、断念してもらうしかなかった。



 いくらも行かないうちに、KC36632と出会った。

 行動を見られていたのだろう。待っていたのだ。


「JP01が、お話ししたいと申しております」

「こちらもそのつもりだ」

「では、ここでお待ちください」


 待つこと、十分少々。

 JP01が空から降り立った。

 うっそうとした森の木々の下、立ったまま対峙する。


「ご無沙汰しています。今、お願いがあって伺おうとしていたところです」

 JP01の反応を待って話し出すつもりだったが、JP01は黙ったまま。

 以前、シリー川で会ったときと同じようにクリクリした目をしているが、どことなくよそよそしい。


 それでもンドペキは話しかけた。

「ニューキーツの街を救っていただけないでしょうか」

 遠交近攻作戦である。



 窮状を伝えた。

 それを改善する、なにか、いい方法はないでしょうかと。

 レイチェルもあなた方との友好的な共生を望んでいますと。



 しかし、JP01の返答は、がっかりするものだった。

「ご希望に沿うことはできません」

 それだけだった。

 期待は裏切られた。


「そうですか。残念です。それがあなたのお考えなら、これ以上、お願いはしません」

 ンドペキは改めてJP01を見つめた。

 黒い瞳は、どんな感情も宿っていないかように、ただ見つめ返してくる。



「レイチェル長官はあなたと話をしたいと申しております。もしよろしければ、会談の場をセットしたいのですが、いかがでしょうか」

 これは事実である。


「では、私があなた方の洞窟に伺います。ただ、どんな条件を示されようとも、あなた方だけに肩入れするつもりはありません。それだけは了解しておいてください」

 もう、入口も出口もバタンと閉じられたようなものだった。



 しかし、気を取り直して言葉を繋ぐ。

「わかりました。では、いつごろがよろしいでしょうか。当方は、いつでも結構です」

「では、今から六時間後ということで」

「かしこまりました」




 と、JP01はぐっと砕けた調子になった。


「ねえ、ンドペキ、仕事の話はそれでおしまい?」

 仏頂面に微笑が戻ってきた。

「あ、はい」

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