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221 扉を開けろ!

 森の中を大きく迂回し、かなりの時間を使って、エーエージーエスの入り口に到着した。

 依然として、荒地軍はじっとしたまま。

 ただ、あの時残してきてしまった、自分たちの資材は跡形もない。


 階段を下りていった。




「オーエン!」

 最初の扉の前で呼んだ。

「ホトキンを連れてきたぞ! 扉を開けてくれ!」


 すぐに声が返ってきた。

「話をさせてもらおう!」


 ホトキンは背負子に括りつけたまま。

 もう暴れることはないと思うが、逃げ出されても面倒。




「扉を開けるのが先だ!」

「ホトキンはそのままでいい。まずは話をさせろ!」


 ンドペキはホトキンに話しかけた。

「おい、あんた。オーエンが話したいんだとよ」


 ホトキンがどんな表情をしているのか、見えない。

 黙りこんでいる。


「どうした」

「起きています」という隊員の声。


「聞こえてないのか?」

 それでもホトキンは話そうとしない。

「オーエンの声は聞こえてるか?」



 ようやくホトキンが口を開いた。

「聞こえている」

「あんたと話したいんだそうだ」

「いやだといったら?」


 ンドペキは怒りを爆発させた。


「そうかい! じゃ、おまえに用はない! 死ねばいい! くだらんことしやがって!」

「フン。そろそろこの体にも飽きてきたところだ。いいじゃないか、死なせてくれ」

「いいか、おまえはあの洞窟で死ぬんだよ。再生なんかされるか」



「ホトキン!」

 オーエンの声が怒鳴った。

「相変わらずだな! 減らず口を叩くな! また、俺の元で働け!」



 やはり、そうか。

 しかし、ホトキンはまた黙り込んでしまった。



 ホトキンがオーエンの希望を無視すれば、まずいことになる。


「ホトキン! どうした!」

 オーエンがまた怒鳴った。

「おまえの力が必要だ! おまえも知っているだろう! やつらが地球に帰ってきた! すぐにあれを再開せねば!」


 依然として、ホトキンは無視している。

「フン、いい気になりやがって。勝手なことを言ってやがる」

 と、呟いただけだ。




 やつら、とは?

 パリサイド?

 あれ、とは?


 どうでもいい。自分が詮索することではない。

 早く扉を。

 ただ、それだけだ。



 オーエンのあの殺傷装置はここでも効力を発揮するのだろうか。

 もし、ここには備わっていないのなら、ホトキンを降ろしてもいいかもしれない。

 そうすれば、オーエンは扉を開けるかもしれない。

 約束だ。

 少なくとも、連れてきたのだから。




「オーエン! ホトキンをここに残していく! 扉を開けろ!」

 言うが早いか、ンドペキは隊員に命じて、ホトキンを背負子から降ろし始めた。


 スパンッと扉が開いた。


 ひとつ、ふたつ、みっつ。




「おまえ達はここに残れ!」

 隊員に言い残して、ンドペキはチューブに突進した。

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