213 じゃ、生き返らせるか
洞窟内には、昼も夜もないが、夜明けが近い時刻。
瞑想の間の壁際にはうずたかく物資が積まれ、その前には数々の武器や弾薬が並べられてある。
物々しい雰囲気に包まれていた。
ンドペキはチョットマは、大歓声によって迎えられた。
二人が立ったまま簡単に事情を説明すると、大きな拍手が湧いた。
「ホトキンを生け捕りにし、街への道が通じた! 今日はいい日になるぞ!」
年配の隊員が叫んだ。
おおーっ、と轟く歓声。
「生け捕りって、極悪人みたい」
チョットマがニッとささやいた。
ンドペキは、違うのか? とささやき返す。
「本当は、丁重にお願いするべきだったんじゃ?」
「ふん。知るか。とにかくこいつを、あそこにしょっ引いていきゃいいんだろ」
ホトキンを縛り上げているワイヤーを解く気などさらさらない。
「ちゃんと、生きてる? 年寄りなんだから」
「じゃ、生き返らせるか。チョットマ!」
「了解!」
あんなことを言っていたわりに、躊躇なくチョットマがホトキンの頬を叩く。
「こら! 起きろ!」
ハクシュウとプリブの死が、チョットマから報告された。
瞑想の間は凍り付いた。
今後は自分が東部方面攻撃隊を率いることになる。
しかし、ンドペキに気負いはない。
気負わなくても、スジーウォンやパキトポークやコリネルスがいる。
そして、チョットマもいる。
「事態は好転しつつある。そう考えよう。ホトキンをエーエージーエスに連れて行く。それが先決」
そんな言葉で、ンドペキは隊員達に前を向かせた。
背中にホトキンを括りつけたまま。
そのうち、ハクシュウとプリブは再生されて合流してくる、などと楽観的なことは言わなかった。
大げさな訓示などもしなかった。
今は、一人ひとり、前進する気持ち、それが重要だと思った。