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21 心の痣がまた少し大きくなった

「チョットマ」

「はい」


 え、なに?

 何を話してくれるの?

 まだ構ってくれるの?



 声を掛けてくれたものの、ンドペキもなかな次の言葉を発さない。

 もどかしい時間。


 今、どこにいるの? と、聞いてみたい。

 もちろん、会いたいから。



 でも、チョットマは、自分にそんな勇気がないことを知っている。

 心の痣がまた少し大きくなった。




 いつのまにか、サリの部屋の前に来ていた。

 他の部屋と同じように、窓はない。

 明かりが漏れ出るという構造ではない。

 白い壁に分厚いドアがついているだけ。

 外見からは、在宅の有無は全くわからない。

 誰が住んでいるのかさえ。


 チョットマは、ンドペキの次の言葉を待ちながら、サリの扉を見つめた。

 ゴーグルのモニタは、サリが在宅していないことを告げていた。

 ジーピーエスに反応なし、ということだ。

 スコープを使えば、部屋にサリがいるかどうか、分かるかもしれない。

 しかし、そんな破廉恥なこと、できるはずもない。




「サリのこと。おまえが気落ちしているのは、痛いほどわかる」

「……」

「わかってると思うけど、悲しみを共有しているよ。俺も、ハクシュウも。隊のみんなが」

「うん」


 熱いものが、胸に込み上げてきた。


「じゃ、切るよ。元気出せって言っても、出てこないけどね」

「うん、……あ、待って」

「ん?」


「あの、私を……、……、えっと、えっと、これからもよろしくお願いします」

「なんだ、それ。当たり前じゃないか」



 とそのとき、チョットマはサリの部屋を見つめている者の存在に気付いた。

 あっ、ハワード!



 あいつ、何を!



「ンドペキ! ちょっと待って!」

 今、サリの部屋の前に。


 が、既に通信は切れていた。


 もう何度呼びかけても、リキュールの後ろめたさは戻って来てはくれなかった。

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