201 邪魔するやつはすべて撃ち殺す!
どうするべきなのか。
どれかを選ぶべきなのか。
声を無視して、空洞の壁を壊すのか。
引き返す選択肢はない。
どうする。
ンドペキは、ライトが照らし出す岩壁を凝視しながら自問した。
広間の中央、木片のあるテーブルから少しづつ、岩の空洞に近い右奥の水系、すなわちセラミック片のテーブルへ移動した。
また、声がした。
選ばねば、ここから出られぬ。
選べば道は開かれる。
そしてまた、静寂が訪れた。
ンドペキは相手が人間の男であると確信した。
生きている人間、意識だけの人間、死んだ人間も含めて。
「道とは!」
答が返ってくるとは思わなかったが、相手が人間なら言葉は通じるだろう。
静寂が続く。
なお、答える気はないようだ。
怒りがこみ上げてきた。
愚弄する気か!
「こんなまやかしに、俺が付き合うとでも思っているのか!」
ンドペキは、量子銃を構えた。
空洞をぶち抜いてやる!
そのとき、
「待ちなさい!」
鋭い声がンドペキを捉えた。
女の声。
しかも、すぐ近く。
声のした方に銃を向けた。
銃の発射ボタンに指をかけたまま。
何ものもいない。
水流が黒々とした深みを作っているだけ。
「もう、私を忘れたか」
再び、女の声。
と、水中に黒い影が見えた。
水は表層部と深みとでは性質が違うのか、水面は穏やかだが、黒い影の周りではもあれが生じている。
影が揺れた。
見る間に浮き上がってくる。
ンドペキは、撃ち逃すまいと照準を合わせ、待ち構えた。
相手が誰であろうと、邪魔するやつはすべて撃ち殺す!