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200 呪いの板は三枚

 ンドペキは、広間に一歩を踏み出した。

 まず一番近い、有機物の載ったテーブル目指して。



 ここで引き返すのが最良の行動ではない。

 この広間を探索しなければ。

 スゥの話が正しいとすれば、どこかに必ず出口があるはず。

 空洞の壁を吹き飛ばせば、その向こうに通路が現れるのだろうか。



 ふと気づいた。

 三つの石テーブルは、正三角形の位置にある。

 明らかに何らかの意図があって、並べられたもののように。




 ここに間違いない。

 「彼」の住処は。



 生きた心地がしない。


 連中のように真っ二つに体が切り離されて、ここに横たわることになるかもしれない。

 しかし、歩みを止めるわけにはいかない。



 慎重に、一歩。

 また、一歩。




 ひとつめのテーブルにたどり着いた。


 そこには木の板が嵌め込まれていた。

 手に乗るサイズで、痩せて木目が浮き出ている。

 仔細に観察したが、何もわからない。

 もちろん触れてはいけないはず。


 次のテーブルへ。

 どちらも同じ距離。

 10歩ほど。

 さて、どちらへ……。




 と、そのとき、声がした。


 地の奥深くから聞こえてくるような、かすかな声だった。




 呪いの板は二枚。

 希望の板は一枚。


 ひとつは木片。

 ひとつは鉄片。

 ひとつはセラミック片。



 木片は夢を表し、鉄は血を、焼き物は時を表す。



 さあ、どれでも好きなものを取れ。





 声は消え、広間は静まり返った。

 ンドペキは改めて辺りを照らしたが、どこにも声の主はない。


 やっと出やがったな。

 ンドペキは心の中で呟いたが、それきり動きはない。




 闇の中で、投げかけるライトによって、岩壁や、天井や、石のテーブルが浮かび上がっては闇に埋もれていく。


 物音もない。

 かすかに水の臭いがするだけ。


 空気も、暗闇に呼応するかのように、ぴたりと動きを止めている。




「出て来い!」


 声は岩壁に何度も反響したが、それが消えると、再び静寂だけが残る。



 ンドペキは木片のテーブルの脇に立ち尽くしたまま、何かが起きるのをじりじりする思いで待った。


 しかし、ただしんしんとして、暗闇が身を包むのみ。

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