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183 足、洗いたいんだけど

 業火の橋を渡ってから、プリブの部屋はそう遠くはなかった。


「ここだ」

 下り坂はまだ続いていて、この先にも多くの者が住んでいるようだった。


「ここ?」


 チョットマは不安になった。

 本人がそうだというのだから間違いないだろうが、他の部屋と区別がつかない。


「橋を渡ってから十九個目。ほら、ここに傷があるだろ」


 扉は金属製で、周囲に大きな鋲が打ち込んであるクラシックなデザイン。

 比較的新しいらしく、それほど錆付いてもいない。


「一応、開け方を見ておいて」


 プリブは、ダイヤルをくるくる回し始めた。




 中は、外とは比べものにならないくらいに明るく、そして華やかだった。


「うわお! まぶしい!」

「どう、気に入った?」

「うん。というか、それ、どういう意味?」

「別に。しばらくここで暮らすことになるかもしれないと思ってさ」

「やっぱり呪い殺す」


 一緒に暮らすとは言わなかったが、この状況。

 どうしてくれる。



 部屋は、ベッドが数台置けるくらいの小さなスペースがひとつあるきり。

 きちんと整理されているのかもしれないが、大量のモノで埋まっている。

 衣装類がほとんど。兵士用のものは見当たらない。


「これ、あんたのコレクション?」

「そうだよ」

「女装趣味もあるのね」

「趣味じゃないよ。女物も仕事に使うことがある」

「へえ! 仕事!」


「好きなのを選んでくれ。いつまでもそのピンクの格好じゃいられないだろ」

「あっ、そうか。私も着替えなく……、って、どこで!」


 いつの間にか、前が大きくはだけていた。

「くぅぅっ!」

「見やしないよ」



 ますますとんでもないことになってきた。


「まあまあ、そう目くじら立てるなよ。作戦の一環なんだから、我慢して」

「いくらなんでも、我慢できない!」

 プリブが悲しい目をした。

「そう言われてもなあ」




 しかし、チョットマは服装を選んだ。


「足、洗いたいんだけど」

 プリブが指差したところには、むき出しのシャワー。

「仕切りもない……」

 プリブがため息をついて、急ごしらえの目隠しを作り始めた。

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