175 プ、プ、プ、プリ、ブ?
チョットマはますます早足になった。
絶対について行かなければ。
こんなところで取り残されたくない!
ここはなんだっていうのよ!
悪霊が住んでる!
そう思い始めると、すべてのことが恐ろしくなってきた。
目の前を行く浮浪者も。
あなたは本当にプリブ?
東部方面隊の隊員? という気までしてきた。
私、騙されているんじゃない?
「ねえ、パパ」
呼びかけてみても、やはり返事はない。
どうしたの、パパ!
パパ!
浮浪者が四差路を曲がった。
チョットマもあわてて後に続くと、そこにプリブの姿はなかった。
「うげっ」
ほとんどパニックになりかけていた。
なぜ!
そんなに間隔はあけてなかったのに!
廊下の先は真っ暗闇に包まれている。
「ぐえっ」
我慢できない腐臭が押し寄せてくる。
ほんの少しでも吸えば死ぬ。そんな、強烈な臭い。
ど、ど、ど、どういうこと?
プ、プ、プ、プリ、ブ?
背中に、冷たいものが流れた。
振り返ると、うずくまった者がいる。
黒いローブから目だけを見せて、こちらを窺っている。
ど、ど、どうしよう。
こんなところで……。
はぐれてしまった……。
もう、帰る道は分からない。
引き返すこともできない。
立ちすくんだチョットマに、うめき声や叫び声が間断なく襲いかかってきた。
「パパッ! 助けて!」