137 ホトキンという奴、どうする気だ
ンドペキはハクシュウにラバーモードで問いかけた。
「ホトキンという奴、どうする気だ」
パキトポークとスゥは、無事に施設に入れただろう。
もし軍が追ってきていても、声はあの時と同じように、助けてくれただろう。
そう思うしかない。
なぜならふたりは、あるいはバードを含めた三人は、約束を果たさせるための人質。
「やるしかあるまい」
「やる気なんだな」
「引き換え条件だ」
もちろん、パキトポークとスゥを見殺しにはできない。
「落ち着いてから考えよう。手段は」
「そうだな」
「ところで、洞窟とやらの内部を、全員に説明してくれ。向こうに着けば、すぐにやらなくてはいけないことが山積みだ。着いてからゆっくり説明を聞いている暇はないぞ」
ンドペキは全隊員に向かって、洞窟内部の構造について説明した。
それを聞いてから、ハクシュウが自分の隊員三名に指示を出した。
「おまえ達は、洞窟に入らず、敵の来襲を警戒しろ! 敵の別働隊が追走してきているかもしれない。洞窟の入り口を発見されないようにしろ!」
「了解です!」
そして、全員向かって、改まった声で命令した。
「洞窟に入ったら、まず、休息をとれ! スジーウォン、着いたらすぐに部屋割を決めろ!」
「了解!」
「休息は三十分。三十分後に大広間に集まれ。話がある。ンドペキとコリネルスは大広間に食事を用意しろ!」
「了解だ!」
ハクシュウが話しかけてきた。
コリネルスとスジーウォンにも繋がっている。
「これからどうするか、意見を聞こう」
コリネルスがまず発言した。
「まずすべきことは、我々を襲った軍がどこのものか、正確に掴む必要がある。今後のことはそれからだ」
「うむ」
「地下施設の敵は記章をつけていなかった。つまり、防衛軍ではないということ。しかし、この街にそれほどの兵数を擁する隊は他にない」
「ああ」
「あるいは、他の街からの攻撃か。だとしたら、これは歴史的な奇襲攻撃ということになる。今襲ってきた軍が敵だとすれば、街はすでに敵の手に落ちていると考えるべきだ」
「うむう」
「ならば、その女がレイチェルだとして、あそこに倒れていたことの説明もつく」
「他の街からの攻撃。そんな可能性はあるのか?」
「聞いたことがない。ありえない。しかし、パリサイドも出現したんだ。なにが起きても不思議じゃない」
「まあな」