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132 頭を上げるな!

 チューブの斜面に、ハクシュウ隊は隊形を整えようとしたが、声がそれを遮った。


『交渉しよう』

「なんだ!」

『話している時間はない。頼みを受けるなら、俺が連中を排除してやろう』

「なに!」

『どうだ、受けるのか』



 相手が政府の追っ手なら、それ相応の準備もしてきているはず。

 しかも百五十人。

 手練の部隊なら、勝ち目はない。

 こちらはエネルギーさえ枯渇している。

 しかも、ひとりは民間人で、意識不明の女を背負っているときている。

 数秒ももたずに、かたはついてしまう。



 ハクシュウが一拍の間をおいて、

「やろう。ただし、俺たちにできることなら!」と怒鳴った。

『では、伏せろ。一番低いところに。すぐにだ!』


 言われたとおりにするしかない。

『女を降ろせ!』

 すばやく背負子を外し、女がうつ伏せになるように床に降ろした。

『頭を上げるな!』



 クソ、とんでもないことになりやがった。

 ンドペキが思ったのも束の間、

『終ったぞ』」という声が響いた。


『約束は守ってもらう』

「待て! 撃破したのか!」

 ハクシュウが怒鳴った。

 声はない。


「頼みとはなんだ!」

 が、声はもう返ってこなかった。



 声は終ったと言ったが、腹這いになっていた時間は、わずか数秒。


 その間、なんの音もしなかったし、なにかが光ったわけでもない。

 空気さえ、フワリとも動いていない。

 チューブにはなんの変化もなかった。


「クソッタレめ!」




「どうだ、女の具合は」

 まだ生きていた。

 依然として意識はない。

 鼓動は弱く、呼吸も乱れがちだ。


「とにかく戻ろう」



 その後一分も経たないうちに、身の毛がよだった。

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