12 あれ? これって恋?
チョットマは街を歩き回っていた。
行くあてがあるわけではない。
目的があるわけでもない。
花びらのようなジェネレーション……。
はかない年ごろ。
そう、私は十七のときから、そのまま。
でも、私の心にあなたが付けた痣は、日毎に大きくなっていく。
少しずつ形を変えながら。
サリとあなた。
心を揺らす、まぶしいシーン。
もう、私を構ってくれないのね。
大丈夫かって声を掛けてくれても、また行ってしまうのでしょう。
あの日、途方にくれた私を、一緒に来るかって誘ってくれたのに。
私の入隊をあからさまに嫌がる兵士に向かって、こいつは森の妖精かもしれないぞ、って言ってくれたのに。
そう、私の髪を見たことがあるのは、世界で数人。
もちろんあなたはその一人……。
私はいつの間に、恋をしたのだろう。
あれ? これって恋?
サリとあなた。
チャーミングで聡明で、頼りにされている彼女に比べて、私は無邪気なだけのおばかさん。
でも、うらやましくなんてないわ。
それは本当。
だってふたりは、私の大切な人だから。
夕闇が迫っている。
薄い雲が広がる空は茜色。
コンクリートに白い耐候性塗料を塗っただけの街並みも、この時間帯だけは少しだけお化粧をする。
いつもと変わらない人波。
あちこちから聞こえる、呼び込みの声。
食事はどう? いい席があるよ。
本当はせわしない時間帯のはずなのに、なんとなく、間延びした声。
そうだ。
パパが言うように、落着かなくちゃ。
でも、落着くって、どうすればいいんだろ。
こんな気持ちは、簡単には振り切れないよ。
「チョットマ」
突然呼び止められて、我に返った。
「そんな格好で、何を急いでいるんだい」




