10 俺にも解せないこと
「どこを探せばいいのかも分からない。ンドペキもサリを見失ったエリア、特定できないんだろ」
「ああ。何度も話したとおりだ」
「計算上、少なく見積もっても半径四キロ。サリが自分の意思で移動したとすれば、半径二十キロ以上の範囲になる。聞いたんだけど、あのエリアには穴ぼこがたくさんあるって。中には地下洞窟になってる穴もあるらしい。そんなところ、どう探せばいい?」
「洞窟じゃなく、昔の地中基地の跡らしい」
「今は単に洞窟」
「だから、それを明日、話し合う」
「私のレーダーは地中は探査できないし」
ハア、とスジーウォンが大きなため息をついた。
「もし鳥が連れ去ったのなら、お手上げ」
俺にも、スジーウォンの嘆息はよく理解できた。
サリが別の人間として生まれ変わった可能性について、ハクシュウも俺もあえて触れはしなかった。
しかし、探しにいくという無駄な行為の裏には、サリが我々を捨てたと認めたくはないという気持ちが働いていることは明らか。
それはスジーウォンにも理解できるはず。
口にはせずとも、悔しいのだ。
だから探索という無駄な行動をとるしかない。
執拗に愚痴をこぼすのも、我々自身のやるせなさの表れなのだ。
サリの死。
それは、俺にも解せないことだった。
あの日、俺はサリを殺すつもりだった。
しかし、俺は殺してはいない。
あの巨大な鳥、つまり海鷹にやられたのだ。
ただ、確信はない。
鳥が飛び去った窪地は、もともとの俺達の進行方向ではなかった。サリがもしあの窪地で鳥に襲われたのだとしたら、なぜあそこまで移動したのだろう。
進路を変えた俺を見失ったのだろうか。
サリの能力では、ありえないことだが……。
もうひとつ、俺を悩ませていることがある。




