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いつもお読みいただきありがとうございます!

「どうしてお兄さんと晩ごはん食べないんですか?」

「家族だからって食事を一緒にするわけじゃない」

「そうなんですか?」

「そうだ」

「お貴族様って、みんなそうなんですか?」

「そもそも晩ご飯の時間に皆揃っているのも珍しいぞ」

「へぇぇ。そうなんですね~。忙しいんですね」


 結局、エリーザベトをお風呂に入れ消毒液の香りがぷんぷんするエレノアとカイルは晩ごはんをエレノアの部屋でとっている。


「でも、お兄さんこの屋敷にいらっしゃるのに。誘ってみますか?」

「結構だ」


 カイルの拒絶しかない様子にふぅんとエレノアは口をとがらせる。


「そういえば、ご主人様のお父様とお母様もお見掛けしませんね?」

「何をするつもりだ」

「会ったら挨拶くらいは。タダで居候させてもらってるので」

「父は領地と行ったり来たりで兄よりも帰ってこない。母は社交でいたりいなかったりだ」

「じゃあご主人様、今まで一人でごはん食べてたんですか」

「それが普通だ」

「えぇぇ~」


 エレノアはびっくりしながらもカイルの手元を見ながら、真似して食事をする。


「おい、そんなにジロジロ見るな」

「マナーのお勉強です」

「そんなに見られると食べづらいだろ」

「私は単なるペットなので気にしないでください!」


 カイルの眉間には皺がずっと寄っている。しかもため息まで吐いた。


「そういえば、スキルの勉強は進んでいるか」

「はい! 多分」


 返事だけは元気なエレノア。


「そんなに意欲があるならレオポルドに言ってマナーの勉強も入れるようにしよう」

「じゃあ期待しておいてくださいね! お兄さんみたいに綺麗に紅茶を飲んで、ご主人様みたいに綺麗にお魚を食べて見せます!」

「……お前は皿だけ見たら十分綺麗に食べてるんだがな」


 エレノアのお皿は毎食、ソースまで綺麗に平らげられている。


「そういえば、兄のスキルはどうだった。空中のカップを掴んだらしいな」

「魔法みたいでした! 物を浮かすってかっこいいですよね! いいなぁ」

「空中に浮いていたカップをソーサーに戻した時に抵抗はあったか?」

「抵抗?」

「引っ張って空中に引き戻されるような感覚だ」

「?? 全然ありませんでした」

「そうか」


 カイルが考え込む横でエレノアはデザートを堪能していた。



 何かフラグを立ててしまったのだろうか。

 翌日、エレノアは今まで全く会っていなかったにも関わらずブラッドリー公爵夫人とばったり会ってしまっていた。


 兄ジョシュアによく似た顔立ちの公爵夫人はエレノアを見るとちょっとだけ目を見張り、すぐに踵を返してしまった。まばゆいドレスを着ていたのでどこかへ行くのだろう。

 エレノアは残念ながら挨拶する暇もなかった。


 しかし、その日からなんとなく。どこからか視線を感じるのだ。


「どうかした?」


 ジョシュアと庭を歩いていて視線を感じてキョロキョロする。というかエレノアがご飯の後で庭を散策していたらジョシュアが現れただけなので、決して一緒に散歩しているわけではない。


「最近、視線を感じて」

「あーうん。なるほどね。もしかしたらエリーザベトかもしれないね。仲良くなりたいのかも。それか、助けたネコたちはどうしてるの?」

「ほんとですか? エリーザベト様、全然見かけないんですよね。居場所をみなさんに聞いて行ってみても残像さえなくて。親子のネコは鳴き声がするのですぐ分かりますよ。だからやっぱりエリーザベト様ですか!」


 納得して嬉しそうにしているエレノアを見て、ジョシュアは笑ってはいけないが含み笑いをしてしまう。

 ジョシュアは気付いていた。母親が何か言いたげな顔で部屋からエレノアを見つめていることに。


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