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一体どうしろと  作者: 猫宮蒼
二章 攻略本とまではいかないけど攻略のヒントもない時点で人生の難易度は高め

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招待 訪問



 降臨祭に関して特に何を用意する必要もない、とレーゼリナさんには言われていたものの、いやホントに? とは思ってたんですよ。

 一応ご馳走とまではいかなくてもチキン料理くらいは用意するべきでは……とも。


 ところが。


 何と降臨祭当日、私はとある御家庭にお呼ばれする事になってしまったのである。


 レーゼリナさんってもしかして未来を見たりする事ができる人? って思ったよね。

 もしそう聞けばアタシは大魔女だからね、の一言で終了しそうだけども。

 大魔女って言葉で全部片づけようとしてない? って思うけど実際片付いてる感あるから何とも言えない。



 さて、そんな私をわざわざ降臨祭と言うある意味家族や友人、恋人と過ごす日に誘った相手は――


 アレクセイ・リースラント

 リーゼロッテ・リースラント


 のお二人である。


 名前だけ聞けばどちらさん? という感じだけど、家名を聞けば一発で把握できた。

 ルーウェンさんとディットさんのご両親だ。


 ……親からの呼び出し!?


 招待状が届いた時はビックリしたよね。

 ルーウェンさんやディットさんがもうちょっと幼い頃とかならうちの子に近づかないで、とかそういう牽制もあるかと思うけどあの二人の年齢で親が絡む事って何?

 お子様同士のやりとりよりもっと面倒な感じになってしまうのでは……とか考えられる範囲の面倒かつ厄介な事をあれこれ想像してしまったのは仕方がないと思う。


 その招待状をレーゼリナさんへ見せれば、まるでわかっていたと言わんばかりの顔をされたし。

 いやホントに未来とか見えてません?

 聞いてみてもレーゼリナさんそこだけはとても曖昧に濁された。もう見えてるでしょ……それ。


 というか、貴族のお家にお呼ばれって何がどうなったらそうなるの?

 ドレスコードとかあるよね恐らく。正直そんな御大層な服は持ってないんだけども。

 どうしたものかと思ってルーウェンさんに確認とってみれば、招待状の件を知らなかったのかえらく驚かれた挙句、そのままで大丈夫だ、と言われたものの何だかとても不安なんだが~!?


 とはいえ、だからといって今から服を用意するにも時間がない。

 そもそも貴族の家でしょ? 庶民が手だしできる範囲の服で間に合う?

 お貴族様が利用してるような店行って買わないと無理では? というか所持金足りる? ってなるわ。


 まぁ、どう考えても服を新しく用意するのは難しいし、ルーウェンさんの言葉を信じて普段着で行くけど本当に大丈夫かなこれ……!?

 一応事前に洗濯とかして綺麗にしてから行くつもりではあるけれど、限度ってあるからね。


 手土産とか用意すべきなんだろうか……しかし一体何を用意していけばいいのかもわからない。

 前世だとネットで調べたりできるけど、生憎この世界にそんな便利な機能はないので調べたくても調べられない。そもそも菓子折りを買うにしてもだ。

 貴族の家、という時点で相当選ぶよね。気軽に友人の家に遊びに行くのにコンビニでお菓子買っていきました、とかそういうノリで買うようなものではないよね。

 そもそもそんな庶民向けのお菓子とか持ってってもルーウェンさんとディットさんのご両親食べるか? ってなったら食べないのでは?

 ルーウェンさんとかディットさんは割と庶民の中に混じってるからそういうの平然と食べてたりするの見た事もあるけど、ご両親はどうなんだろう? さっぱりわからぬ。


 ぐるぐると無駄に悩んだ末に、お菓子とか場合によっては降臨祭のケーキとか向こうの家にあったらそもそも食べないだろう可能性が高いし、食べ物に関しては手土産から外す事にした。

 とりあえず、うちの店で少数作ってるハンドクリーム……ではなく、そこに魔力を入れて更なる薬効を高めたボディクリームを作ってそれを手土産にする事にした。

 これなら最悪ご両親が使わなくても使用人とかが使うかもしれない。


 リタさんに作り方教わって前に自分用に作ったけど、正直びっくりするくらい手とかすべすべになる。

 ちなみに通常のハンドクリームは売ってるけどここまで薬効高めたやつは非売品である。

 というかね、ここまで凄くなっちゃうと売るにしても値段高くしないといけないから庶民じゃ手が出せないのよ……もっと量を減らせば庶民でも買えるくらいになるけど、量が少ないって事はすぐなくなるって事で。


 それなら最初から大容量のハンドクリームのまま売った方が普通に売れるんだよね。


 うちの店はあくまでも庶民向けだからね。貴族とかお客で来る事もないし。むしろ来られたらビックリするわ。



 そんな感じで、リースラント家に行く前の時点で結構あわあわしちゃったけれど、降臨祭当日である。

 呼ばれたのは昼下がり、夕方になるちょっと前。

 多分帰る頃には日が沈んで暗くなってるだろうなーってのがわかりきってる感じの時間帯だ。


 当日、館まで出向くつもりだったけどそれよりも前にルーウェンさんが迎えに来てくれた。

 少し早めに家を出ればリースラント家の場所とか探しながらでもどうにかなるだろう、と思ってたんだけど、ルーウェンさんもそのあたりを把握していたのか、

「いやそんな気軽さで来ると迷うぞ」

 と言っていた。

 成程つまりは迷子防止も兼ねているのか。


 一応出かける前にルーウェンさんに本当にこの服で大丈夫か、と聞いたが問題ないと言い切られてしまったので内心で本当かよ……と思いつつもその言葉を信じる事にする。

 もし駄目だったら後日改めてルーウェンさんには抗議する所存である。


 そもそも後日、が本当にやってくるかどうかは疑問だけど。


 身分はあるけど、少なくとも自分の周辺ではそこまであれこれうるさくはない。

 でも、これから行く場所は貴族の家で、自分のホームグラウンドとは違う場所だ。

 そこでうっかり不敬としか言いようのない事をしでかしたら、その場で処刑とかされたりしない……? 大丈夫? そうか、ルーウェンさんが言うならそうなんだろうな。


 なんて納得していれば、ルーウェンさんは貴族を何だと思ってるんだ……とどこか呆れたように呟いた。

 いやだって、前世で履修した作品とかだと割と貴族の気まぐれで殺される庶民とかいましたけど?

 しかも何の非もない庶民が殺されても貴族は罪に問われない、とかよくある話でしたけど?


 しかし流石にそこまでは言えないので、適当に愛想笑いを浮かべて誤魔化す。


 そうこうしているうちに、とうとうリースラント家へと辿り着いた。

 辿り着いてしまった。


 ルーウェンさんが迷うぞ、とか言っていたのは誇張でもなんでもない。

 思った以上に入り組んだ場所にその家はあった。


 家って言ってるけどまぁ、普通に豪邸だよね。


 うちの薬屋が一体何個入るかな、って思う程度には大きかったよね。

 ルーウェンさん曰くそれでもまだうちはささやかな方、との事だけど。


 うん、まぁ、ちょっと離れた所にここよりもっと大きな家とか見えるからね。嘘だ~とかは言えない。


 ここからでも見える大きなお屋敷と比べると確かにささやかって言っちゃっていい、とは思う。

 とはいえそれでも庶民から見たら充分大きなお家ですけれども。


「そう緊張する必要はない。うちはそこまで大きな家でもないし、ましてや使用人の数もそこまでじゃない」

「いやあの、貴族の家って言う時点で緊張するんですよ。規模とか関係なしに」


 正直ルーウェンさんの言葉はちょっとずれている。


 大体そこまで大きな家でもない、ってそりゃ比較対象が見えてるからまぁそこはわからんでもないけど、それでもやっぱり自分が住んでる家と比べればとんでもなく大きいし、使用人の数もそこまでじゃない、っている事に変わりはないわけで。


 ルーウェンさんは自宅だから気負う必要はどこにもないけど私にしてみればそうじゃないわけで。


 この微妙な部分が上手く伝わってない感よ……!


「今からそれだけ気負うと余計疲れるぞ」


 そう言われましても……

 というか私はともかくルーウェンさんも既にお疲れっぽいのは何で?


 そんな事を思いながらも先を行くルーウェンさんに遅れないようついていって。

 そうして家の中に案内されると早々にディットさんが出迎えてくれた。


「やぁエルテ。急な招待にも関わらず来てもらってすまないね」

「あぁ、いえ」


 急、といえば確かに急だったけど、これ来ないっていう選択肢選んでたらどうなってたんですかね……って思わなくもないわけで。


 というか全く関係のない間柄なら見なかった事にする、っていうのもできたけど、仮にここでブッチしたとして後日ルーウェンさんかディットさんにその事を聞かれないとも限らないわけで。

 うん、ルーウェンさんとディットさんっていう知り合いがいなければ知らぬ存ぜぬを貫き通せたかもだけど、ご両親からの招待をブッチするにはね……理由とか聞かれるかなって。そして聞かれた以上招待状なんてなかった、なんて言いきれる気がしない。


 だって招待状、配達の人がわざわざうちの店に届けに来たわけだし。確実に本人に手渡しました、っていう状態だから言い逃れもできやしない。


 ちなみに既に数名、ディットさんの背後に控えるようにして使用人の方々がいるんですよね。

 向こうはお仕事中なのであからさまにこっちに視線を向けるような事はしてないけど、わざわざ呼び寄せた相手がただの庶民という事にどう思われている事やら……

 別段アウェイな空気感はないけど、でもそれがいつそうなるかはわからない。

 うーん、知ってる人の家ではあるけど、そこが貴族の家、ってなるとなんだこの……油断できない感じ。


 念の為結界とか張っておいた方がいいのかな……とか思いながらも、私は二人に案内されて家の奥の方へと進んでいくのであった。

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