そこにある温度差
よくよく思い返してみたんだけどさ。
エレナとポールってもしかしたら私知ってる人では……? って気がしてきた。
いや、ゲームに出てきたとかではなくて。
前世の記憶が蘇る前、まだ私が無邪気にアニーティカの街で親と一緒に暮らしていた時に何度か街の子と遊んだことがあったんだけど、もしかしてあの二人がそうじゃないか……? って気がしてきたってだけの話なんだけどさ。
とはいえ私も幼い頃そこまで外に出たりしてなかったからなぁ。遊んだっていっても本当に数える程度。
正直ほとんど覚えていない。何せ遊んだ回数は片手の指で数えきれてしまう程度である。
そう……幼い頃の私、前世の記憶が蘇る前の私は、少しばかり身体の弱い大人しい子であった。
……今それを他の誰かに言っちゃうと「それ、誰の話?」ってなりそう。
いやでもビフォーアフターが激しいなんて事は割とよくある話だよね?
昔は可愛かったのに、とか定番のセリフですよね?
昔の某少年漫画のハー〇様だって元々はとてもこう……薄幸の美少年みたいな感じだったわけですし。あれはビフォーアフターが激しすぎるんよって言われたらそれまでだけども。
まぁ私の幼少期は最初から可愛かったと言えるけど。
身内フィルターかかってたとしても、それでも一応街の人たちからも可愛い可愛い言われてたからな。幼女アイドル状態だったよ。
まぁ滅多にお外に出てこないってのもレア感あったからかもしれないけど。
昔はね、ほんと、季節の変わり目となれば体調を崩していたような感じだったんだ。
前世の記憶が蘇った頃にはもう体調崩してる場合じゃねぇって感じもあったけど、その少し前くらいから徐々に健康を取り戻しつつあったってのもあるから今の所はとても健康体ですけれども。
とはいえ何があっても体調を崩さない、みたいな感じじゃないのでうっかり冬の日に水風呂に入ったりしようものなら確実にヤバいし、ましてや夏であってもお風呂上りに髪も乾かさず全裸で寝ようものなら風邪を引く自信はある。やらんけど。ヤバいのわかっててやる事ある?
明日どうしても体調崩さないといけないとかじゃない限りやろうとは思わないよね。
そんなわけで前世の記憶が蘇る前、お外に出た事は何度かあるけど、そこで更に街の子たちと会って遊ぶ、なんてのができたのはもっと少ない回数だった。
で、何度か遊んだ覚えのある子がエレナとポールに似てたんだよね。というか名前も確かそんなだった気がする。
目の色はどうだったか覚えてないけど髪の色は同じだったなと断言できる。
幼少期、限られた回数しか外で遊べなかった私からすればある意味充分お友達扱いだったと思うんだけど、あの二人がそもそも私の事を覚えているかは知らん。
いやだって、あの二人は私と違って幼い頃から元気いっぱいだったもの。
むしろ駆け回って遊びたいのに私と言う足手纏い、というかお荷物? がいたとして、思ったように遊べなかったのであれば友達というよりは邪魔者扱いになってたかもしれない。お子様って残酷だからね。何かこう、対戦系のゲームとかでチーム組むとかってなった時に「お前がいると負けるからやだ」とか平気で言えるもんね。
NOと言えるのはある意味いい事かもしれないけど、でもそれもうちょっとオブラートに包もうか……ってなる事あるもんね……
そういや当時の私エルって呼ばれてたっけ。何となく今更のように思い出してきたぞ……
まぁ、あの二人からすれば幼い頃のちょっとした思い出、下手をすれば私の存在なんて忘却の彼方の可能性が高い。
考えてもみてほしい。
私にとっては数少ない遊び相手だったから覚えてるけど、あの二人からすれば接点ほとんどない状態だ。
それこそちょっと遠出して遊びにいった大きめの公園でたまたま暇してそうだったから一緒に遊ぼうぜ! って声かけた子、くらいの距離感の可能性がとても高い。
私だったらそれくらいの距離感の子とかまず覚えてないね。
言われてみればそんな事もあったっけなぁ……くらいに思うかもしれないけど、正確に顔とか名前とか憶えてられるかって言われると……無理ですね。
それでなくともあの二人は私が街からいなくなった後も、アニーティカで生活していたわけだ。
ご近所さんとか、他の友達だとか、学校もそういやあったんだっけ?
通うって話は出てたからあるはず。
もしかしたらアニーティカじゃなくて別の所の学校に通うって話だったのかもしれない。
詳しい話は両親が死んでしまったのでどうにもこうにも。結局学校に行く事なく、ってのが現状だけど。
まぁ読み書きと簡単な計算はできるし、魔法に関しても一応それなりに教わったから今から学校に通うとなってもなぁ、って感じではあるのよね。やりたい事があって専門的な知識が必要でそのために学ぶ、とかって明確な目的があればともかく。
現状薬屋やりつつギルドの手伝い、なら学校にあえて通う必要性がないのも事実だ。
魔法に関してはおばあさんとかリタさんがちょろっと見てくれたけど、私結界と治癒魔法以外壊滅的だったもんなぁ。学校に通ったからってそれがどうにかなる気がまるでしないわ。
まぁ、ともあれあの二人はアニーティカで生活していて、知り合いだって増えただろう。友人だってあの頃と比べればもっとずっと増えたに違いない。
途中でいなくなった小娘の事なんて覚えてなくてもおかしくないよね。
あの森で会って話をした時点ではこっちの事を知ってるようにも見えなかったし。
多分。
多分だけど。
知り合い作フリゲがもし私のプレイした後の話からの続編、という感じだったと想定して。
主人公ってあの二人なのでは? と思えるんだよね。
となると、私の立ち位置は精々顔見知り。何かまた会おうねとかお話しようね、みたいなフラグは立ってるけれど、あの二人の仲間入りみたいな感じではないと思う。
時々ウルガモットに立ち寄った時にちょっとした情報とかアイテムを渡すくらいの立ち位置じゃなかろうか。
もしかして自分が主人公になってる可能性……とか考えた時と比べて圧倒的に安心できる感じですね。
是非ともその方向性であれと願ってしまう。その方が安全だからね。
仲間入りして下手に危険に飛び込むような真似はしたくないし、うっかりマトモなRPG系統の話だったらそれこそ世界を巡って最終的に魔王っぽい感じのやつ倒さないといけなくなっちゃう。
ゲームとして魔王倒すのは別に問題もないし抵抗もないけど、現実問題魔王に挑めってなるとそれはちょっと……確実に死闘なのわかりきってるからね。
っていうかこの世界に魔王とかいるの? そういう話は今の今まで出てきてないからいないものだと思ってるけど、これでもし登場されたとして私の結界ってどこまで通用するんだろうね?
流石に試してみようとは思わんけど。
ドラゴンとかを前に結界でどこまで耐久出来るかレースとかもノーサンキューだし。
私の立ち位置は精々あの二人が主人公だったとしても、精々たまに会いに来てもらう感じで、その時に怪我をしてるようなら治癒魔法、そんでもって何回か会話したらアイテムをあげるとかそういう感じの役割だと思いたい。
その程度であれば私もとても安心なんだけど。
あまりにもここ最近色んなイベントらしきものが発生してるせいで、自分主人公説とかトチ狂った想像までしちゃったもんな……ここはせめて心の安寧を保つためにも私はモブだと強めに言い聞かせておきたい所存。
多分そう頻繁に顔を合わせる事もないだろうけれど、かつての友人のよしみとしてもエレナとポールの今後の活躍は楽しみにしてるし、応援してるからね!
なので私の事は巻き込まないで何かこう……それっぽい感じでストーリー進めて下さい。
そんな感じで。
私はウルガモットへ戻るための馬車の中でそっと祈りを捧げたのである。
あの二人の今後の展開が世界の命運を左右するレベルの規模の話じゃなければ巻き込まれたりはしないだろう。しないよね? しないって言って!
あまりこれ以上考えると、何だか本当にフラグが立ってしまいそうだったので、私はそこですっぱりこれ以上考えるのをやめて、収穫祭とやらに思いをはせる事にしたのである。
収穫祭ってくらいだし、美味しい物が一杯あるといいなー!




