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一体どうしろと  作者: 猫宮蒼
一章 自衛のために好感度とかもっとわかりやすくしてほしい

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広いんだか狭いんだか



 結局あの後私も何だかんだで疲れたのもあって、仮眠室のマトハルさんが起きるのを待つのもやめてさっさと家に帰った。

 一応採った薬草もあるからね。それだって処理しないと、折角採ってきたのに駄目にしちゃうかもしれない。

 いや、ちょっとくらいなら大丈夫だろうけど、あまりにも放置しすぎたら萎びちゃうし。


 とりあえずすぐに使うやつとそうじゃないやつに選り分けて、それからご飯支度すればいいかなって思ったので、まずはそっちを先にやってたんだけど。


 よし終わったご飯の支度するぞって思った矢先に店の扉が叩かれた。


 いやあの、今日はもう営業してないんですけれども……医者とかなら急患かな? って思うけど薬屋で営業時間終わって尚扉叩くって、どういう時? 魔物の毒とか食らった系?


 特に緊急性もない純粋にこっちの営業時間とか知ったこっちゃねぇ系の人だったら結界で叩きだすぞ、とか思いながらも、だがしかしうっかりお母さんが熱をだして急遽お薬が必要なお子様の可能性も捨てきれないので扉を開ける。


「んあ?」

「……何の御用でしょう。もう店は閉店してますが」


「坊主?」

「なんです」


「いやあの、ここババアの家じゃなかったか……?」

「どこのおばあさんの家ですか。このご近所その手のおばあさんとかおじいさんとか該当者いすぎるのでそれだけでボクがわかると思わないでくださいね」


 なんと扉を開けるとそこにはさっきお別れしたゲヘノムさんがいるではありませんか。


「あ、いや。ここ、リタの家じゃ……?」

「リタさんなら亡くなりましたよ」

「はぁ!?」


 えっ、この人リタさんと知り合いだったの!? という内心の動揺を出さないようにこたえる。


 リタさんの知り合いって大体ご近所さんだと思ってたから遠方から訪れる人については全くこれっぽっちも考えてなかったな。あぁ、でも優れた薬師ならそういうのもあるか……


 前世でもあえて遠方からここに来てます、みたいなのはそこそこ聞く話だったもんな。

 病院だとか整体だとか整骨院とか、そういうのは特に。


 この世界だとそういうのは行くだけでも魔物とか盗賊だとかで危険が伴うけれど、それでもそれだけの価値がある、と思えば実行する人はいるだろう。

 地元の薬師の腕が悪すぎてこのままじゃ治るものも治らねぇ、とかで藁にも縋る思いで名の知れた薬師のいる町へ、なんて人だっていてもおかしな話じゃない。


「そんな……一体いつ」

「春になるちょっと前ですね」

「……そうか、そうかよ……」

「お墓は教会の墓地です」


 いやあの、家に仏壇とかあったら線香あげてく? とか言えたけど、生憎この世界の宗教は前世の宗教ちゃんぽんしてる感凄いんだけど、生憎お家にお仏壇、っていうのはないんだわ。なので家の中にリタさんのそういった何かがあるわけでもない。

 それなら素直に教会の墓地に行ってそっちでお祈りした方がまだマシだろう。


「いいや、やめとく。

 ……坊主、ババアの孫か?」

「いえ、血の繋がりはありません」

 というかリタさんの子か? って聞かれないあたり……いやうん、リタさんの年齢だと私の事生んだ年齢考えたら無理があるだろってなるからそこはまぁ、うん。

「弟子か」

「まぁ、そんなとこでした」


 言うほど弟子してた感じしないけどね。

 おばあさんの所にいた時と同じように身の回りの世話をしつつちょっとお薬の作り方とか教えてもらったくらいだし。弟子、というかなんだろう。雑用って言われた方がしっくりくる。


「…………多少の世間話程度ならお付き合いしますけど、どうします?」

「…………いや、今日はやめとく。思い出話に花咲かせるにはまだ心の準備もできてねぇや」


 言うなりゲヘノムさんはくるりと背を向ける。

 閉店時間だってのに悪かったな、なんて言ってこっちを振り返るでもなくそのまま手を振り去っていった。



「いやあの、ゲヘノムさんがリタさんの知り合いっていうのだけはせめてマトハルさんも一言教えておいてほしかったな……結構驚いたわ」


 店の扉を閉めて思わずそんな事を呟いてしまったのは仕方のない事だったかもしれない。

 詳しく聞いてないけれど、ゲヘノムさんはマトハルさんにお兄さんと呼んでいい、なんて言ってたから実際血が繋がってる、もしくは昔近所に住んでる兄貴分みたいな立場だった。

 で、リタさんとも知り合いであった、という感じか。


 その割に今の今まで名前聞いた事ないな。


 いや、マトハルさんは自分の事ぺらぺら話すタイプじゃないから、家族構成とかよっぽど踏み込んだ内容だろうし気軽な世間話で言う事もないだろうとは思う。

 っていうか世間話そのものをあまりしないタイプだもんな。私とは比較的話をしてくれるけれど。


 でもリタさんからもゲヘノムさんの名前とか聞いた事ないんだよね。

 チラッとそれっぽい人の事を話したような事もないな……なにせリタさんが死ぬ前だってご近所の人に関しては多少話をしたけど、それ以外の人については……単に言えなかっただけ、だろうか。


 もうじき自分が死ぬ、って感じの時にあれこれ伝えるべき事を言おうと思っても、ハキハキ伝えられるはずもない。言おうと思ってたけどそこに至る前に、って可能性と、言うつもりは元よりなかったっていう可能性が存在する。


 ギルド長との世間話でマトハルさんの話題になった時にゲヘノムさんの事があがれば知る機会があったかもしれないけれど、そういう事もなかったし……


 とりあえず明日にでも機会があればマトハルさんあたりに話聞いてみようかな……

 もしゲヘノムさんがたまにではあってもリタさんのところのお客さんだった場合、何らかの薬が必要だった、って可能性もあるわけだし。

 用意できるものなら用意しよう、というくらいの気持ちはある。

 無理なら無理って言うけども。



 とりあえずご飯にするか……と切り替えて、その日はご飯食べてお風呂入って寝た。


 そして翌日。


 その日は朝からお客さんが来る気配もなかったので、早速ギルドに行く事にした。


 昨日仮眠室から出てこなかったマトハルさんが、既に家に帰ってしまった可能性はある。

 というかマトハルさんってどこに住んでるのかはそういや知らないな。

 ルーウェンさんとかディットさんはリースラント家の人って知ってるから、家の場所もなんとなーく知ってはいる。家のあるところまで行った事はないけど。というか貴族が暮らしてるお屋敷の近くなんて用事がない限り近づこうとも思わない。仕事でどうしても、みたいな状況ならともかく、何の用もないのにそんなところふらふらして不審者扱いされたら流石にちょっと。


 でもって確かカイルさんは私が住んでる地区とは結構離れた所に家を借りてるって言ってたんだよな前に。

 家っていうか、アパートっていうか。

 多分この街に住んでるギルダーの人たちが大体そんな感じじゃなかったかな。

 何かギルド所有の建物でそこ借りて暮らしてるとかどうとか。

 社宅みたいなものだろうか、って思った記憶がある。


 この街でずっと暮らすって決めてる人ならともかく、そうじゃない場合は拠点をあちこち移動する、なんてギルダーの人もいるようだし、そういう人たちがそういった部屋を借りる事が多いのだとか。

 そうなるとカイルさんもいずれはこの街を出てどこか別の所へ行くのだろうか……と思ったが、今のところはそういう話は出ていない。

 でもあの人も何かこう、ある日突然旅に出てもおかしくないタイプだからな……


 昨日と変わらぬ笑顔で何の変哲もない世間話の最後に爆弾落っことしてくるタイプだぞあれ。

 一切そんな素振り見せないくせにずっと考えてたんだがここを出ようと思うんだ、とか突然言い出しかねないタイプ。

 何日か前に言ってくれればまだしもホント唐突に言うものだからお別れの挨拶もロクにできないとかそういうやつ。下手したら何かのイベントフラグミスった場合いなくなってからそれ知るパターンとかだぞきっと。


 知り合いの作ったフリゲには露骨な好感度イベントとかはなかったけど、何かそういう感じしてたもんなぁ。


 サブイベントでキャラとのやりとりはちらっとあったと思うけど。でもあれ他の仲間もわちゃわちゃしてたから、好感度がそれで上がるかってなるとどうなんだろ……?


 うん、まぁカイルさんについては今はいいや。


 問題はゲヘノムさんだよ。


 久々に知り合いに会いに来たら既に死んでましたとか私も伝え方もうちょっと配慮できたのではないか? と思わんでもない。

 次にあったらもうちょっと言葉選ぼう。

 とはいっても、どういうのが正解かってのはさっぱりなんだけどね。


 なんて考えながらもギルドに辿り着いたので早速中に入ってみれば、なんとそこには一触即発状態のマトハルさんとゲヘノムさんがいるではありませんか。


 ……え、何。どういう状況……?



 ふと、ちょっと前に出会った白い人の言ってた「呪いの力がどうのこうの」というのがよぎったけど、いやまさかね……?

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