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一体どうしろと  作者: 猫宮蒼
一章 自衛のために好感度とかもっとわかりやすくしてほしい

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見間違いの結果



 メルドーラでの一件を片付けて帰ってきました。

 数日とはいえ店を閉めていたので早速開けたらご近所さんが買いに来てくれたりしたので、帰って来てからやったのはまず在庫チェックだったよね。


 ポーションとかは念の為って感じでいくつか持ってったりもしたんだけどさ、実際は治癒魔法で回復させてたから使わなかったんだけど……そのポーションはメルドーラでリーダーさんが買い取ってくれたんだよね。一応メルドーラにも薬屋がないわけじゃないんだけど、大きな店というわけでもないから品ぞろえはともかく数が少ないのだとか。

 ギルドの応援が来る前の時点で地味にポーションは不足しつつあったらしい。

 それもあってサハギンその他の魔物を追い払う時、なおの事無茶はできなかったんだとか。


 まぁ人手も足りてないのに薬もないとか、下手に深追いして怪我した時点で総崩れの未来が見えるもんね。

 帰りはおかげで荷物が減った……と思いきやその分メルドーラで魚介類とか買ってしまったので荷物は逆に増えたわ。

 自分の氷魔法はあまり威力が強くできないので、ルーウェンさんに頼んで冷凍保存してもらった。いやいいなぁ、あんだけ威力のある氷魔法使えたら冷凍庫いらずでは? って思うもん。

 食材そのものを凍らせるより小さな氷を沢山だしてそこに食材ぶっこむ、って方法ならどうにかなるんだけど、それだと余計に場所取るんだよね……


 ついでに薬の材料になりそうなやつもいくつかゲットしたので、近いうちにこれもお薬にしておかないと。


 メルドーラに行く前に家の冷蔵庫の中はある程度使い切ったから、食材も買い足さないと……意外とやる事があるもんですなぁ。

 なにせ何日で帰ってこれるかはっきりしなかったから、下手したら帰ってきた時点で冷蔵庫の中が魔窟に変貌してる可能性考えちゃったもんね。

 前世でも旅行行く前にうっかり炊飯器の中そのままにしちゃって帰って来たら炊飯器の中のご飯がとんでもねぇメタモルフォーゼ遂げてたって話があったくらいだし。

 冷蔵庫の中もそう考えると安心はできないからね。冷蔵庫はあくまでも食品を冷やして保管してくれるだけで、別に古代魔法が発動して時を凍らせるとかしてくれるわけじゃないし。


 食材が傷んで下手に放置する状態になってたら、染みついた悪臭が中々取れなかったりもするからなぁ……出かける前にちょっと無理してあれこれ使い切っておいて正解だったわ。


 もしかしたらギリギリ傷まない可能性もあったけど、こうして帰ってきてしまえば大体仮定の話だよね。



 というわけで、帰ってきてまたすぐ別の所に行ってくれ、とかいう話が出るとは思わないし食料を買い込んで帰ってきて、その日はギルドの手伝いに行く事なく終わったわけだ。


 で、次の日。

 食料買い込んでついでにいくつかの下処理を済ませたりして使う時にすぐ使える状態にしておいて、とかやってようやく一段落ついたわけです。

 いや嘘。

 一段落っていうにはまだ早いか。

 住居側はそうだけど、まだ店側のお薬の在庫チェックが終わってなかったわ。


 まぁそんな一杯売れたりしてないからこっちはすぐ終わると思うんだけど。


 何だかんだポーションはよく売れるんだよね。作る時に魔力込めて薬効上げてるからってのもあるけど、ギルドとかでもそこそこ買い取ってくれるし。というか依頼で納品とかもしてるからなぁ……

 それ以外だと解熱剤とか火傷とかに効く塗り薬とか。胃薬とかもそこそこ売れてるな……

 あとは虫刺されによるかゆみ止めとかそういうのも売れてるっぽいな。とはいえこれは季節柄だろうけど。


 メルドーラでゲットしてきた素材も使いたいし、そうなるといくつかの素材採取する必要があるな。


 必要な物をメモに書いていって、その中で優先順位を決める。

 あれもこれもと欲張っても一度に全部は手に入らないからね。


 メルドーラでゲットした素材を先に使わないと、あまり先延ばしにすると質が落ちるからこれを使う事をまず優先させようか。

 ウルガモットの近くで大体これと一緒に使う素材は手に入るから、ギルドでついでに納品依頼がないか確認して、あったら引き受けて自分の分も確保って感じかな。


 そうと決まれば話は早い。

 サクッとギルドへと向かったわけだ。



 生憎と納品依頼はなかった。

 ついででやるとちょっとしたお小遣い稼ぎになるからあってほしかったけど、無いならそれはそれで仕方がない。


 ウルガモットの近所、それこそよく薬草を採りに行く所だったから、特に危険もない事はわかっている。だというのに、危険だからとか言われてマトハルさんがついてくる事になったのである。

 いやまぁ、これもよくある展開だけども。



 そういや以前何か狼に襲われたのこの辺りだったな、なんて思いながらも薬草を摘み取る。

 周囲に特に魔物の気配はないのか、マトハルさんはそこまで警戒しているようには見えない。でもあからさまに警戒してますって感じじゃないとはいえ、警戒してないわけじゃないんだろう。

 そんなマトハルさんを横目に大体の薬草の採取を終えて、さて帰ろうかとなった時だった。


「あれっ」

「どうした?」


「いやあの、今の人みました?」

「人……いたか?」

「いましたよ、あの木の向こうに」


「……気配は感じないが」

 マトハルさんはそう言いながらも警戒度合いを引き上げたようだ。


 そうだよね、気配がないならそこに人はいないんだろうけど、でも私が見たって言った事でいる可能性が出てしまった。見間違いじゃないか? と切り捨てるには場所が悪い。


 ウルガモットの中であれば、それで良かったかもしれない。

 でもここは街の中じゃない。外だ。魔物が出る事もあって、盗賊だとか山賊なんて奴らと出くわす事もある外だ。


 そこで気配は感じないからいないと断じるのは危険であるとマトハルさんは理解している。

 だってそれは、こっちが感知できない――つまり向こうのが格上であると言っているも同然なのだから。


 とはいえ、私の見間違いじゃなければあの人は。



 メルドーラで出会った謎の人だ。

 私にいきなり呪われてるなんて言い出した女の人。

 全体的に真っ白で、だからこそ薄暗い場所で見るとちょっと幽霊めいて見える……いや、見えた人。

 言うだけ言っておもむろに姿を消したあの人は、あの後探してみたけどそれらしい姿を見かける事もなかった。


 けど、仮にじゃあその人だったとして。


 どうしてここに? と疑問に思うのも当然だ。


「仮にボクの見間違いだとして」

「あぁ」

「そうなると高確率で幽霊とかそういうやつなんじゃないかなって」

「……幽霊は流石にないだろう」

「いやでも、前に会った時、何か一瞬でパッと消えちゃったんですよその人」

「まさか」

「それで思わずその近くの他の道とか確認したけどどこにもいなくて。全体的に真っ白だったからもしかしたら幽霊の可能性もなきにしもあらず」

「その理屈で言うと花嫁は幽霊カテゴリに入ってしまうな」

「そこなんですよね」


 全国の花嫁さんに喧嘩売ってる理論になってしまう。

 というか白い服着てる人大体そうなってしまう。流石にそれはちょっと……


「そういえば、お前らがメルドーラに行ってる間にお尋ね者情報が回ってきてたな」

「え、何ですそれ」

「ギルドは基本的に依頼を受けてそれらを達成する事で報酬をもらうわけだが」

「あぁ、そうですね」


 あとは時々自警団とかの要請受けて手伝いとかして後日謝礼をもらうとか。

 それこそこの前のメルドーラがそのパターンだ。


「それだと来る依頼が偏るだろ」

「ん、あー、まぁ、確かに……?」


 基本は薬草を採りに行きたいけどちょっと危険だから代理で行ってきてとか、どこそこの魔物退治をお願いしますだとか、あとはそれ以外の屋根の上の掃除をしたいけど足腰弱ってて自力じゃ無理だから、とか、荷物運びとか、割と何でも屋みたいな感じではある。

 けど、そういう依頼って誰かが困って出した依頼なわけで。


「お尋ね者絡みの依頼は基本的にギルドには来ない。が、外に多く出る事があるのは自警団や騎士じゃない。ギルダーだ」

「まぁ、そうですね」


 例えば大規模な魔物討伐だとかの時に自警団や騎士団が出る事はあるらしいとはいえ、基本は内側の守りだ。外に出て魔物退治とかやるのは確かにギルダーが多い。

 でも、お尋ね者の情報はそれだけじゃ入ってくるはずもない。


 他の街や村なんかで暴れまわってた山賊だとか盗賊がそっちでボロボロにやられて逃げてこっちに来ちゃいました、なんて事もあったりするだろうし。そうなるとそっち側にある町や村にこういう感じの奴が行ったから見つけたら気を付けろよ、みたいに知らせとかないと確かに危険だよね。


 知らないままそっちで根付かれたりしたら今度はそっちの治安が下がるわけだし。

 知らないまま警戒する事もなくある日突然、なんてパターンもありそう。


「大抵は手配書として渡されてくるが、その中に確か白を基調とした殺し屋崩れのお尋ね者もいたような」

「殺し屋……なんですかねぇ、確かにあの人の気配の感じなさっぷりは殺し屋だとしたらとても怖いでしょうけど……」


 どっちかっていうと私あの人は魔法使いか何かだと思うんだよなぁ。

 超スピードで一瞬でばびゅん、と消えたとかって可能性もあるけど、それにしたってああまで気配も痕跡も残らないってある?

 魔法使いか何か、だと思ったのはそもそも暗殺者とか「お前呪われてるぞ」とか忠告してくるかな? って思ったりもしたからだし。

 殺し屋なら呪いとか言わんでその場で殺した方が手っ取り早くない?

 依頼以外の殺しはしない、とかであればまぁそれはいいんだけど、だとすると私に忠告した意味がわからない。

 何、何となくその場にいたからこいつに意味深な事言って驚かせておこう、とかいう捻くれた中二病患者の方です?


 確かに何かこう、暗殺者ってちょっと精神逝っちゃってるイメージもあるから、そういう精神的な病にかかっててもおかしくはないのかもしれないけど。うん、偏見。

 しかし前世で履修した殺し屋キャラの大半がそんな感じだったからな……

 一般とは理解し難い感性とか美学をお持ちの方が多かったし。


「そいつは女子供であっても容赦なく殺すって話だからな。依頼以外で殺す事は滅多にないらしいとは聞くが、目撃者は容赦なく消すとも言われている。

 もし、夜道で白い服を着た男を見たら一応警戒だけはしておけ」

「男……なんですか?」

「あぁ、手配書に記された特徴にはそう書かれていた」

「ボクが見たの、女の人ですけど」

「…………」


 何か突然話題転換されたな、って思ったけど、マトハルさんは確かに私が見たであろう人に気付いてなかったようだし、こんな所を一人ふらふらしてるとなればそれなりの実力がなければ危険だと判断もしたのだろう。

 そこで、ふと手配書の事を思い出した、が正解かな?


「念の為確認しておくか?」

「そうですねぇ、ボクの方が見間違いでもしかしたらその男の人かもしれない可能性もありますけど」

「だが、もしそうであったならどうにかしておかなければマズイ。気のせいだろうとそうじゃなかろうと確認くらいはしておくべきだ」


 マトハルさんの言う通りであるので、私はさっき見かけた場所へと近づいてみる。

 勿論マトハルさんも一緒にだ。



 だがしかし、別にそこに誰かがいたという痕跡は何もなかった。

 というかその周辺にも何の痕跡もない。

 舗装された道ならともかく、この辺りはそんなんじゃない。足跡の一つはついていてもおかしくないはずなのに何もなしだ。


「……相当な手練れか、幽霊、か……」

「あっ、マトハルさん何か面倒になってません?」

 その二択しか出ないってのもどうかと思うけれども。

 いやでも世界観的に宇宙人とか未確認生命体とかはなさそうだもんね。そういうの大体新種の魔物とかそういう扱いになってそうだし。


「……危険性は今のところなさそうではあるが、警戒だけはしておくべきだろう。一応ギルド長にも伝えておく」

「まぁ、その、なんでしたっけ? 白ずくめの殺し屋? そいつが女装してる可能性も無きにしも非ずですしね」

「いや流石にそれは……」


 無いって言いきれないのか、マトハルさんは気まずそうに目を逸らした。

 そして次の瞬間、咄嗟に武器を構える。


「おっと、俺様達に気が付くとはさてはただの雑魚じゃねぇな?」

 ガサガサと草木をかき分け姿を見せたのは、まぁお世辞にも善良な一般市民です、とは言えない外見の男だった。体格のいい男の後ろにはもう二人ほどいるらしく、マトハルさんは私に小声で下がってろ、と告げる。


 どうやら、盗賊とのエンカウントのようです。

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