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一体どうしろと  作者: 猫宮蒼
一章 自衛のために好感度とかもっとわかりやすくしてほしい

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どうにか一件落着



 洞窟壊すからちょっと大きな音がしますよ、という通達はしていたけれど、その後の魅魔の首飾りを破壊するために火精霊イフリートの息吹を使うという連絡はしていなかった。

 そのせいで再び起きた轟音に何事かと周辺住民の方々が駆け付けたけれども、まずは謝罪しつつ後で改めて事情説明しますんで……と自警団の人がペコペコと頭を下げて言えば、釈然としないながらもとりあえず住民の方々は戻っていった。


 火精霊イフリートの息吹の爆発から続いて結界の中で魅魔の宝石が持つ魔力が爆発したのもあって、洞窟破壊した時よりもとんでもねぇ音したもんなぁ……


 あまりの音にちょっと本調子じゃなかった自警団のリーダーさんも腰を庇いながらやってきたくらいだったし。



 とはいえ。


 これで恐らくはメルドーラの町に魔物がやってくるという事はないだろう。

 いや、話に聞けば毎年それでも少しは魔物がやってくるって話だけども、でも今年みたいに立て続けにやってくるとか目撃情報が多発するとか、そこまでではなくそれ以前くらいまでには戻るはず。


 船に関してはサルベージするのかどうなのかはまだ微妙だけど、そもそもあの船豪華客船ってわけでもなかったし、サルベージするにしても精々死体の引き上げとかかな……?

 まぁそこら辺はメルドーラの人たちが決める事だろうし、決めた時に人手が足りないようならそれこそギルドに依頼がくるだろう。

 シュミット家がカモミルドの街の貴族だったって話だから、もしかしたらそっちのギルドに話を通した方が確実かもしれない。ウルガモットよりはシュミット家の事を知ってる連中がいそうだから、もし確実に死体であっても引き上げなければ、なんて事になるならウルガモットよりはカモミルドの人たちの方が乗り気になる可能性もある。


 可能性の一つとして、シュミット家が家宝にしていたという魅魔の首飾りを回収したい、という人物が出てくるかもしれないけれど……壊したって言って信用されるかどうかはまた微妙なところだよね。

 直接破壊したのをメルドーラの自警団の人数名が見てるとはいえ、そんなの信じない! っていう人はいるだろうし。

 その場合周辺の海域に首飾りが流れている可能性を信じたい感じで海を荒らす可能性が出てくるけれど……まぁそうなったらそうなったで、その時はどうにかしてくれと丸投げする所存である。


 ウルガモットのギルドは元々魔物退治の応援に来ただけで、そこまでどうにかする必要ないし。というかだ、魔物の発生源をどうにかした時点できっちり完璧に仕事完遂してると言えるのでは?



 あの石が呪われてそうなヤバヤバなオーラ出してないただの魔石状態ならそのまま置いておくのも有りだったかもしれないけど、あのままにしてたらどんどこ魔物が呼び寄せられます、となればメルドーラの人たちだって一刻も早くどうにかしてくれってなるわけだし。それをどうにかしたんだから、こっちが責められる道理はないと思っている。


 というか考えようによっては私たちめっちゃパーフェクトに仕事こなしてるよね。


 だって魔物退治の応援要請に来たわけだけど、これ普通だったらやってくるサハギンとかの魔物倒して数日してある程度減ったなー、ってなったら帰ったわけでしょ?

 でも魔物を呼び寄せる原因になってた魅魔の首飾りはそしたらそのまま海の底にあったわけで。


 原因を取り除かないまま戻って来て、となるとメルドーラ実質なんも解決してないって事になってたわけだし。


 これ以上魔物が増えたりしない状況に持ってきたとなれば、むしろお仕事大成功では。



 ……サハギンだけじゃなくて、海竜がいたのはびっくりしたけど。

 でも魅魔の首飾りもなくなったし、あの海竜もどっか行ってくれてるといいんだけど……流石にこの辺りの海域縄張りにしますね、とかなって居座られて漁ができないからアレの退治も、なんて事になったら流石に手の打ちようが……陸上での戦いなら今回参加したギルダーの人たちだけでも結構な実力者なんでどうにかなりそう、って思うけど相手のフィールドで戦えってなると大分厳しい。


 結界で包んで海の中で戦うにしても、そうなると大体魔法が主力になるんだよね。でも今回のメンバーで魔法が使えるのって私以外だとルーウェンさんくらいでは?

 魔力はある、って人でも魔法を使えるまでの魔力があるわけじゃなさそうだし、魔法を使えるだけの魔力を持ってても魔法なんて使った事ない、って人もいるみたいだからなぁ……急ごしらえで教えたとしてもそれでいきなり実践しろ、は無茶が過ぎる。

 それで使えたとしても、精々一発魔法を打ったらはいおしまい、の流れになりそう。

 それでいざ海竜に挑め、は死ねとおっしゃる? とか言われても仕方がないな。


 ホント、あの海竜がどっか行ってくれることを願おう。



 ちなみに今更だけど、大量に退治する事になったサハギンたちはメルドーラ自警団の人たちが片付けてくれている。流石に食べたりはしないみたいだけど、何かの素材になるとかどうとか。薬の材料にはならないっぽいから私あまり詳しく聞いてなかったんだよね。


 とりあえず今日はあと簡単に周辺見回りして、夜になっても特に魔物が町にやってくる様子もなければ明日あたりには帰る事になりそう。まだ魔物の動きが怪しい感じだったらもう何日かここに滞在するっぽいけど。



 そんなわけで簡単な見回りは他の人たちがやってくれる事になった。

 正直私たちもそんな張り切って色々やったって感じはしないけど、まぁ、海の中に入って海竜とエンカウントした事で結構ね、心臓がキュッとなったりもしたからね。あとはもう安全なところで休んでもいいんじゃなかろうか、って思っても仕方ないよね。うん。



 ちなみにこの後見回り組が特に問題なし、と言った事であとは夜の状況次第という事になった。


 何事もなければいいなー。




 …………で、夜になったわけです。

 ちょっと前までの状況と比べて何なんだってくらい魔物が来る気配がない。ざざーんざざーんと寄せては返す波の音がするだけで、とても静かなものだ。


 暗い夜の海の、波間からこちらの様子を窺う魔物がいるでもなく、ちょっと前のサハギン団体さんご来襲、みたいなのを知らなければここは至って何もない平和な海辺の町だと思われたに違いない。


 念の為少しの間警戒はしていたけれど、なんだか警戒しているのが無駄に思えてくるくらい何もない。


「この様子ならもう大丈夫だろうな」

 カイルさんがそう言えば、まだちょっと本調子じゃない自警団リーダーの人が「おう、助かったわい」なんて言ってる。確かにこのままサハギンが延々やってくるような状況だったら、町の人が漁に出るのも大変だっただろうし無事に解決して何よりですな。


「魔物が発生する元凶ももうないみたいだし、これなら魔物が出るにしても例年とそう変わらん感じになりそうだから、これからはどうにかなるだろうさ。いやー、助かった。ギルド長にもよろしく言っといてくれ」

 ガッハッハ、なんて豪快に笑いながら自警団リーダーさんはがしっとカイルさんの肩に腕を回す。

「おう、また何かあったら言ってくれ。できる範囲で手伝うぜ」

 カイルさんがそうこたえれば、リーダーは「頼りになるなぁおい」なんて言いながらばしばしと何度かカイルさんの肩を叩いて、それからパッと離れた。


「よし、そんじゃまぁ、勝利の宴と洒落込もうじゃあないか!」

「用意できてまーす」

「こっちもバッチリでーす」


 リーダーの言葉に応えるように自警団の人たちが何やら運んできた。


 周囲が暗いのでサハギンたちが襲ってきた時同様篝火で照らされた砂浜に、炭やら網やらが持ち込まれる。

 前世でもキャンプの時に使ったなー、って感じの道具が用意されてそこに炭やら着火剤やらがセットされ、その上に網が乗せられる。

 人数が多いからいくつかあるそれら全体に火が熾されたあたりで、今度は魚だとか貝だとかが持ち運ばれて網の上に乗せられていく。

 ついでとばかりに肉とか野菜も乗せられて、どう見ても海鮮メインのバーベキューです。


「こんなこともあろうかと酒も用意してあるから、パーッと飲むぞー!」

 リーダーの言葉に自警団のみならずギルダーの皆さんもわーっと歓声を上げた。


 おぉお……何かいっぱいある……美味しそう……とか思ってあちこち見ていれば、風上側で自警団の人がお香っぽいものを炊いているのが見えた。

 気になって聞いてみれば、虫除けのお香との事。


 あぁ、うん。そだね……明るいと寄ってくるよね……サハギンたちと戦ってた時もそういやちらほら飛んできてたっけね……サハギンとの戦いで虫とかそれどころじゃなかったから皆気にしてなかったっぽいけど。

 でも戦ってる時ならともかくバーベキューやってる時に虫が飛んで来たらビックリするもんね……


「おっ、坊主、お前今回の功労者なんだから、一杯食ってけよ!」

「あ、はい」


 自警団リーダーがそんな事を言って私に皿を渡す。その上には既にいくつかの程よく焼けた魚と野菜と肉が乗っていた。魚に至っては食べやすいサイズに切り分けられてるし、塩を振っただけなんだけどとても美味しい。


「あっ、エビもいい感じになってますよ食べますか?」

 そう言ってくれたのはサブリーダーだ。食べやすいように頭を取り外して殻を取ったやつをこっちが頷いたと同時に皿の上に乗せてきた。


 い、至れり尽くせりでは……?


 自警団の人たちだけではなくギルダーの人たちまでもが、

「お、これ美味かったけど食ったか? 食ってない? ちょっと待ってろ今いい感じに焼けるから」

 とか言ってあれもこれもって食べさせてくるんだよね。


 いいんだろうか、私食べてばっかで手伝わなくても……ってなったから聞いてみれば、いっぱいお食べと返されてしまった。


「なぁに、お前さんが来てなかったらあの洞窟はそのままだったし、そうなればいずれあれは完全な魔物の巣窟になってただろうさ。いやー、昔はそのまま海に繋がってるトンネルみたいな感じだったのに片方塞がっただけでああも面倒な事になるなんてなぁ」

「そうそう。あれが無くなっただけでも見回る手間が省けたしな」

「それにあれだろ、まさかあのあたりに船が沈んでるとか思いもしなかったからなぁ」

「魔物をおびき寄せるアイテムがそこにあるなんて俺たちだけなら気付かなかっただろうし」

「仮に気付いたとしても、回収できてもその後がな~」

「浄化魔法使える人材はあまり多くないって話だしなぁ。そうなれば当面ここで保管しないといけなかっただろうし、でもそうなれば町に魔物が寄ってくる……うーん、その手間も何もかもなくなって一件落着。まさにスピード解決!」

「いやー、坊主ひょろっちいから大丈夫かと思ったけど、中々どうしてやるじゃないか」


「あ、はい。どうも……」


 既に軽くお酒が入ってるからってのもあるんだろうけど、とんでもなく陽気な皆さんにそう言われ、どんどん食えと更にあれこれ勧められる。


 新鮮な魚介、うまぁ……

 肉とか野菜も美味しいし、何食べても美味しいっていう非の打ちどころがない感じよ……


 結局私は勧められるままにお腹がはちきれそうになる直前まで海鮮バーベキューを堪能した。


 この世界に転生してから海の幸一生分摂取しました、みたいな勢いで食べたわ。いやこれから先も機会があれば食べるけど。

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